いまごろになって「口蹄疫について」。
2010/05/20 (木)

ame.gif のち曇り。
で、仕事を終えて玄関まで下りてきたら、土砂降り。また、傘を取りに戻る。

□18:30 東京センター 「中国と台湾と、三国志」

ちょうど1週間前の13日、農業関係のあるパーティに赤松農水大臣が顔を出し、
ひととおり差し障りのないのあいさつをすませ降壇しようとしたところで、
おそらく近くにいた人(野党議員かも)から「口蹄疫はどうした?」くらいの声がかかったのだろう、
再びマイクの前に立ち「宮崎で発生した口蹄疫は、しっかり囲い込んで広がらないようにしている。心配ない」
と大きな声で力説していた。
しかしながら、そうではなかった。
どなたかの日記に「口蹄疫はどうなってるの?」との書き込みがあったが、
今週になって東国原宮崎県知事が非常事態宣言を発し、一気に中央マスコミが取りあげ大騒ぎ状態になっている。
封じ込めているどころか、燎原の火のごとくとどまるところを知らず広がる一方だ。

そもそも、口蹄疫ってなに? 
ほとんどの方々は、対岸の火事で関心も薄いことと思う。
農水省のHPには、
「口蹄疫は、牛、豚等の偶蹄類動物に感染する病気であり、
 それらの動物に由来する食品を摂取しても人に感染することはありません。
 しかしながら、偶蹄類間の伝播力が極めて強く、畜産業における経済的なインパクトも大きい…」
云々と紹介している。

「偶蹄類」ってなんよ? で、ある。 
蹄(ひづめ)あるいは指が偶数の動物で、今回、発症している牛や豚がそう。
これに対して、それが奇数の「奇蹄類」というのもあり、蹄が割れていない馬などがそう。
「奇蹄類」のなかには、バクなどのように前肢4本指・後肢3本指なんてのもあるそうだ。
「口蹄疫」とは、この「偶蹄類」の動物の間で、ウィルスで空気感染する伝染病で、感染すると口や蹄周辺の皮膚に水疱ができる。
動物自体は死ぬことはまれだが、当然、商品にはならず経済価値がなくなる。
発病国の肉は、輸出もできなくなる。
人に感染することはなく、仮に罹病家畜の肉を口にしても人体に影響はない、とされている。

しかし、とにかく感染力がめちゃめちゃ強いとのことで、
1頭でも発症を確認した畜産農家では、全頭殺処分。殺して埋める。
「家畜を助ける仕事の獣医が、家畜を安楽死させるために呼ばれるとは」と嘆いているという。
それでも殺処分がおっつかず広がってしまったようだ。
伝染病だから、ウィルスが人の衣服から衣服に付いて移動することも考えられ、
周辺の集会などの催しもすべて延期もしくは中止となっている。
一般の方々にまで、旅行等は自粛してもらいたいほどのようだ。
TVニュースでも流れていたように、記者陣に問い詰められる東国原知事はそうとう苛立っていたが、
手を打っても手を打っても隙間から逃げていくウィルスに音をあげている状況だったろう。

事態を重くみた鳩山首相が対策本部を農水省から国に格上げし、自ら対策本部長に就いた。
ただし、これは、口蹄疫そっちのけで外遊していた赤松農相への風当たりが強いからとも言われる。
それまで本部長だった赤松農水大臣は副本部長と格下げになった。
そして、昨日発せられた対策が、半径10km圏内のすべての牛・豚にワクチンを投与し、
ウィルスの増加を抑えた後、殺処分する、というもの。
すでに殺処分されている11万頭に加え、新たにそれが20万5千頭になるとのことだ。
ワクチンを投与されても、わが子のように育てた家畜が殺されるのを、
ただ待っているだけ、見ているだけの農家にとってはしのびないものだと思う。
さらに、10〜20km圏内の牛・豚の搬出制限区域では、
未成熟のまま早期出荷するよう国が助成することを決めた。
しかしながら、10km圏内でも、まだ発生していないのに、地図に描かれた円に引っかかることにより、
今後の人生をひっくり返される畜産農家も当然いる。

影響は宮崎の牛だけにとどまらない。
宮崎県は、全国第2位の黒毛和牛の生産県。
生産から肥育までを一貫して行う生産体制等の推進により、肥育牛の増産に取り組んでいる。
県では55頭の種牛を管理していたが、今回の件で残ったのは6頭になってしまった。
さらに、宮崎の子牛は、宮崎牛だけでなく佐賀牛、松阪牛のブランドともなっており、そういったところまで影響する。
九州のほぼ全域で子牛の競りが中止に追い込まれている。

 
蘖ひこばえの菜園作業メモ
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]