2010/05/18 (火)
重いテーマですが・・・
平穏死、老衰死
これ、日本ではかなり難しい事です。 老人ホームで働くようになり、はじめから疑問に思っている事。
老人達は家庭の事情等で施設に入り、人生の終焉場所を選んだ。 しかし、そこは安楽の場とはかけ離れた、まさに牢屋のような場所。 これはたぶん、私の通っているホームに限らず、 ほとんどのホームがそうであると思う。 特養老人ホームは終の棲家。 まさに、最後の駆け込み寺である。 が・・・・
自由に外には出られない。 食欲がなくても食べないといけない。 プライバシーなどもちろんない。 誤嚥で肺炎になって、病院に搬送され、 薬で治って帰ってくるが、またその繰り返し。 具合が悪ければ医学でそこだけ対処してホームに戻り、 食べたくない食事を取らされ、水分を取らされ、 取れなくなると胃に穴を開けて直接栄養を流される。 ほとんどの人は、そこまでくると手足がむくみ、 細胞も衰えて行き場のない水分や栄養分で水ぶくれのようになって、 最後まで苦しみながら心臓が限界になるまで待って息を引き取る。 それか、病院に搬送され、そのままか・・・
これ、幸せでしょうか? 確かに長生きが出来る。 でも、職員の誰もが、絶対にホームには入りたくないと言う。 いや、仮に入りたいとしても、介護職の給料では安すぎて、介護はするが介護される所には入れないと皆言っている。 利用者一人に国の税金も驚くほどかかっている。 これからの超高齢化社会で日本は潰れるとも言われている。 この危機を日本がどう乗り越えるのか、世界がひそかに注目しているらしい。 若肉老食という言葉もあるように(←一部でそう言われている) 、これからの若者の負担も半端ではない。 ギリシャじゃないけど明日は我が身。 じゃあ、どうすればいいのか。
北欧のように、医療過護、介護過護を辞め、 自然な看取りを行うようにし、 尊厳死を認めるべきであると思う。
北欧やドイツなどのホームでは、食べたくない人へ無理に食べさせる行為はご法度だそうで、認知症、高齢の方の医療行為は控え、そのまま老衰で亡くなるのを見守るらしい。 その結果、誤嚥性肺炎は少なく、苦しみも当然少なく穏やかに眠るように亡くなるようだ。
私の見てきた、苦しみながら、口や腕に針やチューブを刺し、手足がむくんで亡くなるのとは大違い。 誤嚥性肺炎で亡くなる例が日本のホームでは多い。
日本では、やれる医療があるのにやらなかったのか?とか、食べさせないと介護を怠っていると責められてしまうので、食べられない人の口に無理に食べ物を入れなくてはいけないと言う現状がある。
家でもホームでも死ねない、病院に搬送されて亡くなるケースが主な事が、ちょっとはまずいと思ったらしく、政府が介護施設に対し、看取りをホームで行った場合の手当てを付けるようにした。 しかし、なんとも中途半端な政策で、根本的な解決にはほど遠いような・・・・
と、偉そうに色々書き立てましたが、 ちょっと働いた私がこう思うぐらいだから、 こういう危惧の念を抱いている方も多いと思うけど、 難しい課題なんだろうね。
平穏死 難しいですね。
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