無題
2010/11/21 (日)

昔の人は、口から食べ物を食べられなくなったら、
植物と同じように水分がなくなり、かさかさになって枯れるように、
眠るように亡くなった。
それが自然死。

なのに今は、それは許されにくい仕組みなのだ。

体の細胞が枯れようとしている所に、栄養や水分が送り込まれ、
上手く吸収できないから肺炎になって苦しんで苦しんで死んでいったり、
手や足の皮膚の下に水分がたまり、ぶよぶよに膨らんで、針でも刺せば水が出てきそうな、
中途半端に水が入っているビニールのようになる。
そのうち血管に針が刺さらなくなり、首だのなんだの、いろいろな所から
栄養を送り込もうとするが、それでもダメで、ようやく眠らせてもらえる。

昔私が集中治療室にいたときに、隣のベッドの人は、
最後、血圧が下がりすぎて叩かれて無理やり血圧を上げ、一日命を延ばされていた。
これはたぶん、家族が来る前に息を引き取っちゃうとなんとなくよろしくないし、でも薬はもう効かなそうだし。
って事で、夜中に、
「叩けばいいんだよ。ほら!上がってきたよー。」
「やだぁ、先生、すご〜い!」
と、医師と看護師が笑いながらやっていた。
カーテン一枚で仕切られていただけの集中治療室だったからまる聞こえ。

そのときの私は意識がはっきりしていても喋る事ができなかったから、
私の存在を忘れていたのか、
医師と看護師は楽しそうに普通の会話だったなぁ。
最後に叩かれちゃうのかぁって思ったっけ。
人の死って、あっけないというか・・・・
家族が面会に来たときは、シーンとなるんだよね。
そりゃそうか。

(そういえば私も病院で血圧が下がりすぎて倒れ、
先生に叩かれてた事があったけど意識が朦朧としてるから痛くは無かったし、
血流を促すには妥当な処置なんだろうね。)

そこになんで3日も入れられたのか不思議で、
「早く出してください」って紙に書いて見せたけど、
「口から食べ物が取れるようにならないと出せない」
といわれ、
人口心肺だのなんだので、喉に色んな管を入れられたせいで痛くて痛くて
何にも喉を通らなかったけど、
日に日に周りの人が死んでいく集中治療室から出るために
頑張って重湯を飲み込んだっけ。

病院で亡くなるという事は、こういう事なんだと
実感したと言うか何と言うか・・・


話は元に戻って、
なかなか自然に死なせてもらえない今の日本。
畳で死にたい。とは、叶わぬ夢。
他国では尊厳死などが認められ始めているのに、日本はどうなんだろう。
長寿国日本。
万歳???

他の介護者に一度聞いたことがある。
「もっと楽に死を迎えられるようにできればいいのにね。」
「俺らの仕事がなくなるから困る。」

あぁ、そうですか・・・・

 
yuriの菜園・手作り生活
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