2010/11/14 (日)
再びその利用者の家族が荷物を処分しに施設に来た。 あの時片付けないで良かったぁ。
「お母様は病院でどうですか?」 と、聞いてみると、
「肺炎は治ったそうです。 肺も心臓も健康なのだけど、口からの栄養が取れないので今は点滴でもっている状態です。
延命はしないように頼んだら、点滴をとれば1〜2週間しかもちませんけどどうしますか? 鼻から栄養を入れる鼻腔栄養摂取をやってみますが、それはべつに延命ではないですよ。
って先生に言われて、それもやらないでくださいとは言えなかったの。 なんだかすごい薄情な娘みたいに思われてるけど、こんな感じで生きてても、生きてるって言えるのかなぁ。
話しかければ喋れないけどこっちを見るから、もしかしたら聞いてるかもしれないけどね。
鼻から栄養を取れれば少し回復するかもしれないので、そうなると病院にはいられないらしいから、 療養型施設に入ったほうがいいって勧められたんだけど、それは病院では探してくれないって言われて。
家族が探さなきゃいけないんだって。 そんなこと出来ないし、家に連れて帰るにも、家庭崩壊になっちゃうから絶対出来ない。
ここのホームは点滴の人は無理でしょ?お医者さんが、特別養護老人ホームでは無理でしょうって言ってたし。
お母さん、どこに行ってもらったらいいんだろうって悩んじゃいます。 日本の医療は進んでるけど、はたしてそれがいいのかどうか。
結局鼻から栄養を送ったら、肺と心臓は元気だからまだ生きるとは思うけど、 ここには戻れそうも無いから荷物は捨てようと思って今日来たんです。
昔だったらとっくに死んでる人なのにね。 病気になっても医学で治し、なかなか死ねないのよねー。
あ、写真とかお茶碗とか入れ歯はお棺の中に入れてあげようかな。 それは持って帰りますね。
でも、ここに3ヶ月は籍を置いてくれると言われているんだけどね。
病院にしても施設にしても、介護保険でまかなえそうだから金銭的負担はないんだけど、追い出されるのが困るんですよ。
お医者さんが母を長生きさせたいのは、母みたいな人が入院して治療すれば点数稼げて病院や施設が儲かるからなのかなあって思ったりもしちゃうんですよねー。」
と言っていた。
微妙な言い方でどのようにとらえていいのかよくわからないけど、 一応、 「そうですよねー。大変ですよねー。わかります。はい。辛いですねー。」 と、『聞き上手になる方法』のお手本のように相槌を打ちました。
感情を抜きにして、施設的には、 場合によってはここに戻ってきて私達が看取りってこともあり得るから、いらないといって置いていかれた荷物は3ヶ月は処分せずに取っておいたほうがいい。 って事だな。
しかし、延命を一切したくないのなら一週間ぐらいで亡くなると思うので、施設施設と騒がずに、家で最後看取るのもいいと思うんだけど、それは出来ないのかなぁ。 一日も家では面倒見れないって感じだからダメか。
ホームヘルパーとか巡回看護を頼んだり出来ると思うんだけどね。 精神的に無理なのかなぁ。 療養型施設を自分で探す事もしたくないって事だしね。
介護者仲間の意見としては、
「最後の看取りになると、結局介護者に押し付けられるよねー。 で、亡くなる前はどのくらいの頻度で巡回してましたか? とか、様子はどうでしたか?とか、 顔色は?バイタルは? 危ないのに30分も間が空いてるのはなぜ? とか、 そのときあなたは何もしなかったのですか? とか、事情聴取のように事細かに聞かれるし。 他の利用者も見なくちゃいけないのに、ずっとは見てられないでしょう。 気が気じゃないよねー。 そんなバタバタした中で、最後終わっていくんだよ。 自分が夜勤当番のときに部屋に行ってみたら亡くなっているって言うのが、 一番嫌だよ。 昼間なら介護者一人じゃないからまだいいけど。 」
私は昼しかパートでいないからわからないけど、 夜勤は恐ろしいです。 中には、夜のほうが他の職員がいなくて気が楽っていう人もいますが。
やっぱり割に合わない仕事だ・・・
「引き潮って何時〜?今夜嫌だなぁ。」 という言葉もよく耳にします。
続く・・・
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