2010/11/12 (金)
さて、痰がらみのひどい87歳の利用者。 このままだと窒息死しかねないのでどうしよう。 リーダーに話してもらちがあかないだろうし、 施設長は看護長の言いなりだし。 やっぱりあの新人ナースに相談がいいかも。 新人といっても、他の病院で働いていた人なので知識は豊富。
そこで、一応リーダーの顔を立てるために話はリーダーに通して、 新人ナースに相談。 やっぱり思ったとおり、この人は頼りになる人だった。 看護長に内緒で吸引してくれ、病院に話をつけて受診にこぎつけ、 そのまま入院にもっていってもらった。
診断は、肺炎でかなり重症。 よくここまで施設にいたものだと感心されたというけど、 関心じゃなくて、呆れられたのじゃなかろうか。
入院が決まってから看護長が私の所に来た。 「yuriさん、あの利用者、入院にしてもらったから、大丈夫よ。安心して。 肺炎で肺が真っ白だったのよ。」 と、いかにも自分の手柄のように言っていた。
何もしてくれなかったくせに。
で、あとからこっそりと新人ナースが来て、 「なんとか入院してくれるようにもっていったから。 でも、家族が延命治療は一切して欲しくないから、病院にいてもやってもらうことないので施設に戻したい。 って言っているんだよね。 このまま施設に戻られても、数日何も出来ずに死を待つだけになるから、せめて点滴で抗生剤を入れてもらって様子見ましょうとは言ってあるけど、どうなるか。」 と言ってくれた。
看護長とは大違いだ。
そのうちこの新人ナースも看護長に疎まれて辞めちゃうのだろうか・・・ 有能な人はこういう施設、嫌になっちゃうのだろうなぁ。 この悪循環、なぜ施設長は気が付かないのか・・・
その日の夕方、その利用者の娘さんと息子さん(45歳ぐらいだろうか)が施設に靴下を取りに来た。
そのとき、家族は私に、 「色々お世話になりました。母のものは処分しちゃっていいですから。 もう使わないよね。 あ、誰か使える人がいたら使ってください。 ぼろくて使えないかな。 2年前に危なかったときに、死んでいてもおかしくなかったぐらいだから、よくここまで生きたよねー。 ほんとにお世話になりました。 子供の私達にはとてもここまで介護できなかったし。 ここで看取って欲しかったけど、病院の先生が、この状態の人を特別養護老人ホームで見ていたなんて、介護の人も大変だったでしょうって。 心臓が強いらしくて、だから長くもっているって。 でもあと3週間ぐらいみたいだから、母のもの、捨ててください。 今までありがとうございました。 明日は子供の部活の用事があったから今日で良かったわ。」 と言って、帰っていかれた。
「まだ戻ってこられるかもしれないので、急いで処分しなくても・・・また、なにか状態が変わりましたら施設に連絡してください。」 と家族に言ったけど、もう挨拶には来ないつもりなのだろうか。 まだお母さんは病院で生きているのに。
一所懸命介護している私達はなんなのだろうか・・・
ここに沢山使われている税金は若い人たちが苦しんで払っている税金なのではないだろうか・・・ と、やるせない、どこにもぶつけようの無い気持ちが渦巻く。
日本人は西洋人と比べ、寝たきりの人が多いらしい。 医療の充実もあるのだろうけど、心臓が強い人が多く、頭の血管が切れても長生きしちゃうのだとか。 心臓が強いのも考え物か?
後日、リーダー会議の議事録を読んだら、 「ナースより。痰吸引は死んでしまう事もあるのですぐには出来ません。○○利用者の痰吸引要求が多い。」 と、書かれていた。 なんだそりゃ。○○利用者って、私がお願いしていた利用者の事なのだ。 こういう風に個人攻撃してきたのかも・・・・ 他の職員に話したら、他の人も頼んでいたからyuriさんだけじゃないよ。 と言ってくれたけど、個人的に直接言われたのは私。 まあ、間違えたことしてないから私はいいけど、 そんな事、文章に残して回覧しちゃってどうするんだろう。 リーダー達、誰も反論しなかったのか? 怖いから出来ないか・・・
続く・・・
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