いのちの棲む里
2006/07/17 (月)

先日、一番上の畑(一番山に近い)で せっせこ草取りをしていたら
ダッタンソバの藪(笑)の中から、雉がダッシュで走り出て
ネギの畝の間を全速力で(いや、どのくらい速く走れるか知らないけど)駆け抜けていった。
見て見て見て〜〜って感じ。(本人はそんなつもりじゃなかろうが。笑)
普段あまり足を運ばない畑なので、安気に巣作りでもしてたんだろう。


走り出たのは雌の地味な雉。
逃げ込んだ隣の畑(これは正真正銘の藪)で、キョッキョッと鳴き始めた。
いや、そんなに怯えなくても大丈夫だってば、捕って喰ったりしねぇから。
と、反対側の山から、ケーーンケンと別の鳴き声。
草の陰から真っ赤なトサカが見える…オス雉だぁ。
平和な雉の住処に不法侵入者(ワシ)が現れ、夫婦を引き離したのか。
凶暴そうな狼藉者(ワシ)にも恐れず、派手な雄雉君も畑のはじっこを横切り妻のもとへ。
アクシデントで、夫婦の絆も深まったことであろう。笑


独り黙々と働いている畑で、
突如現れたアスリートに驚いて、確かに息も止まったけどさ。
山には、鹿もいる、猪もいる、狸も野兎も。
川には白鷺。田んぼには、鴨も飛んでくる。
(もう少し山に行くと、カモシカやオオタカもいるんだって)
捨てられたペットが世間を賑わしているけど、
ここの動物たちは古くからの山の主だ。

豊かな自然だと誇らしく思うけど、
気になるのは、山と里の境界があいまいになってきたこと。
山を追われたものたちが、里を脅かす。
猪や鹿の被害は町のすぐ近くまで及んでいるし、
ワシが雉にあった畑のほんの20メートルのところで、熊がでたらしい。
猿は集団で、道を占領している。

ううむ。

豊かな山を人間の都合で針葉樹の生産場に替えてしまったことへの報復なのか。
越えたくて越えてくるのでない。
でも掟を破ってきてみたら、意外に美味い畑の作物。
帰りたくても帰れない山の主たちは、生きている物の怪なのかもしれない。

考えても答えの出ないこと。
その時になったら付け焼刃で対処していくしかないのだな、と
文化生活で団欒していたら(テレビ観てただよ)

「あ、来た」と息子が指差した網戸の外に
ぼわんと小さな光が見えた。
蛍。

家で蛍を見るのは初めてだ。
こんな訪問なら大歓迎だな、と
相変わらず自分勝手に自然との共存を考える最近のワシなのであった。
元気っす。

 
百姓一記
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