お出かけは旅気分
2005/07/14 (木)

普段は半径100メートルぐらいで暮らしている。
たろの散歩やら、学校の用事やら、隣町への買い物やら、
村内でのあれこれの活動をするのが半径2〜3キロってとこ。
高校のある街までは10キロ以上あるので、なるべく行きたくない。
若い頃の、旅行に行きたい行きたい癖はすっかり鳴りを潜めている。
(無くなったといわないところが未練じゃの。笑)

だから、今回の遠出はちょっと決心が要った。
往復150キロぐらいあるんじゃないか。
それを11月まで13回。
もつのか、腰。という不安も抱えながら、でも決めたんだから最後まで頑張ろうな自分。

乗り出してみれば、旅行者の気分。
いつもと違う広い地平に、おおーーっと溜息が出る。
この田園風景を懐かしむ気持ちの原点はどこなのかなあ。
唯一思い出す、奈良の田舎をうだうだ歩いた貧乏旅行。
腹へって、疲れて、なのに飯屋が全然無くて、
やっと見つけたカップヌードルの自動販売機にオアシスを見たが、
蓋をぺりぺりとはがしてボタンをツイッと押せば…
お湯が品切れだった、とほほな旅。
でもあの時も「田んぼ、なんか懐かしい」と胸キュンだったのだ。
もっと前の幼い頃に、息を呑むような田んぼの緑に包まれたことがあったんだろう。

しかし、旅行者は現実を引きずってもいるもので、
家の前にずらりと植えられたアフリカンマリーゴールドを見ながら、
「いかんっ、勿体無いじゃないか。センチュウの出そうな畑に植えんかいっ」
とか、叫んでいるのだ。

あ゛、思い出した。
忘れ去りたい過去を蒸し返してくれたある風景。
「アスファルトに書かれたチョークの数字」
うううううう。胸が痛い。あの自分の車が忽然と消える恐怖。
胸のうちがにぎやかだった俄旅のワシ。


 
百姓一記
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