2005/05/16 (月)
もう12年も前になるんだ。 モッコウバラがうちにやってきたのは。
週に一回アルバイトで通っていたスタジオの隣、 米軍ハウスに住んでいるカワイさんの庭は、 これまでのワシの拙い花人生の中で間違いなく一番の庭だった。 とにかく驚くほどたくさんの花が、その庭で暮らしていた。 季節に従順に顔を出す花たちを、やさしく迎え 背伸びせず、欲張らずに花を愛で、 植物に添うようなカワイさんの手入れは、本当に自然で美しかった。
その庭にひときわ高い茂みがあって、 これはモッコウバラなの。一番好きな花なのよ。 とカワイさんは風のように笑うのだった。 見たこともない「一番好きな花」を心待ちにしていたある週、ぽつんと小さな薄レモン色のバラが咲いた。 うわあ、これだったんだ。 でも楽しみにしていた次の週には、満開の一瞬は過ぎ去ったあとだった。
カワイさんの花はどれも一つ一つが、珍しくて清楚で可愛くて、 いつもたくさんの花に囲まれているようだったのに、 あっという間に散ってしまう花を、一番に想う気持ちが、その時はよくわからなかった。 挿し芽でも増やせるわよ、と手折ってくれた新芽を大事に育てて(おとうがね) ここに住み着いた年に、地面に帰した。
毎年健気に咲く花を見続けていたら、 すんなりその気持ちがわかるようになったよ。
見えない花を 想う心の 豊かさよ
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(1) 時間限定(タイムセールかいっ モッコウバラ全景
(2) 五月晴れに良く映える
(3) 一年分、見ておくね。笑
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