2004/10/14 (木)
紅しょうがを作り始めたのは3年前だったか。 辰巳芳子の「四季の保存食暦」という文を読んだのがきっかけだ。
「自然に恵まれた地で、四季折々の産物をはぐくみながら作る、情感豊かな保存食暦――。」 紅しょうがは干したり漬けたりを何度も繰り返す手間を惜しまない漬け方だ。 「めったな人には上げられない」これが妙に気になった。 なるほど、こうして手をかけると一年常温で充分おいしい絶品の紅しょうがになる。 めったにはあげないけど、取って置きの人には是非食べてもらいたい秘蔵の一品だ。
今年は梅酢も少ないし、しょうがも少し遅くなった。 はたして胸を張れるようなものは期待できないが、また一年分のしょうがを掘った。
「仕込みものは生活の備えであるが、人生の備えとも無縁ではないように想う。」 辰巳芳子の凛とした文に、背中を押されている。
しょうがの種、こんなに立派な子供たちを育て上げてもなお、薬味として立派に働いてくれる丈夫なお方。 母の鏡であるな。
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