胸いっぱいのおやつ
2004/04/14 (水)

ame.gif 薪割りでもしようかと外に出るなり、雨が降り出す。
一度入って、どうやら中休みかと頭を出すとまた強くなる雨脚。
どうやら今日は家の中に居れ、と言うことだな。

働いてないけど、おやつでもたべちゃお。
先日届いた、薪の香りのするパンを朝昼夜食と食い倒す。
今日はお昼ご飯に食べなかったから、おやつに食べるんじゃ。(誰に言い訳?)

コーヒー飲みながら考える、パンとの出会い。
わたくしはいつからこんなにパンを食うようになったのか。

給食のパンは、嫌いだった。
今より配送事情がずっとずっと悪かったのだろう。
子どもを大事にしないこの国の性根が見える貧しい給食、
(脱脂粉乳も飲んだ世代ですけん、ほんの少しでしたけど)
給食にご飯が出ればいいのに、と毎日願いながら、ぼそぼそのパンを無理やり牛乳で流し込んでいた。

高校のまん前に「文華堂」と言う店があった。
卒業するまで本当はなんて読むのかしらず、「もうけどう」と呼んで重宝していた。
部活の前にパンひとつ、部活が終わってチョコモナカ。
そのころ、マヨネーズのパンが流行りだしていた。

学生時代、バイト先のすぐ近くにサンジェルマンがあった。
バターぎっちょりのデニッシュパンをこの世で一番うまいと食べた。
子どもの頃から朝食はパン。
結婚して、夫の実家で何日も続けてご飯の朝ごはんを食べるの、苦痛だったなあ。(今なら、へーき、多分)

天然酵母のパンを知ったのは、食べものを共同購入するグループに入ってから。
酸っぱいパンのおいしさは良く分からなかった。
おいしい天然酵母パンは、小さな町のパン屋さん。
自分が食べたいパンを焼く職人に出会えた。(教えてくれた友達には感謝)
引っ越す前にそのパン屋に弟子入りして、パン焼きを習おうと思っていたけど叶わず、
ヤマザキやパスコは勘弁だとホームベーカリーで当座を凌ぐことに。
ゆくゆくは、自家製酵母で日常にパンを焼く女になるっ!。

この将来構想を打ち破った恐るべき人。
その人のパンで、満たされています今。

自分で食うものは自分で作るのが基本だと思うけど、
人生に甘えと遊びと、人に頼ることも必要なんだと教えてくれた、ありがたいパン。
粉を吟味する顔、酵母を確かめる眼差し、大胆に材料を調合する手つき、
捏ね始めたまあるい手(ほんとに丸いんだぜ)、成型の手早さ、パンのためにいつも火が入っているコタツ、
転げないようにそろそろと坂を降りる足元(実際、危ない坂です)、ごうごうと燃える薪、ごっついオーブン、
焼きあがった音、香ばしい匂い、ふふんと満足げに笑う顔。
全部が箱に詰まってやってくるんだ。

もしかしたら今ひとつと首をかしげているのかもしれない。
でもさ悩んでいようが、つまっていようが、
食べた人が元気をもらえるパンが焼けるうちは大丈夫じゃろ。
そして私は、パン作りから遠ざかる。

柄にもなく細かい文章を書いてしまった。
雨のせいよ。雨のっ!


 
百姓一記
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