研究実験中
2015/08/19 (水)

研究実験用にわい化剤を揃えた・・・・


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資料   植物生長調節剤

◎わい化剤

わい化剤とは

植物の生長は,植物ホルモンによって調節されている。植物ホルモンには5種類の物質が知られており,オーキシン,サイトカイニン,ジベレリン,アブスジン酸,エチレンがある。この中で「わい化剤」として知られる生長調整剤は,ジベレリンの作用を抑える働きを持っている。わい化剤はこの植物ホルモンの作用を変化させることである。


◎ジベレリンの働き

イネの苗を徒長させる病気「バカ苗病菌」から単離されたが,その後植物でも 生合成していることが明らかとなり,同定された。同定された順にGAに数字が付けられ,GA1,GA3 などのように書き記す。一般にジベレリン剤として販売されているものはGA3 を溶かしたものである。
 生理作用としては,茎の伸長生長の促進,休眠打破,発芽促進,花芽誘導促進などの作用がある。

◎わい化剤の作用

わい化剤はジベレリンの合成阻害の作用を持つ。

ジベレリンの植物体内での合成を阻害するため,しだいに植物体内でのジベレリンの含量が不足し,植物のジベレリン反応が低下する。すなわち,生理作用の茎の伸長が抑えられ,草丈が短かくなる。

わい化剤は,茎に伸長を抑制する作用があるのではなく,茎を伸ばす働きのあるジベレリンの作用を弱める働きをする、したがって,わい化剤を処理した後ジベレリンをかけると,わい化剤の効果は低下する。すなわち,ジベレリン処理はわい化剤の効果をうち消すことができる。
  
わい化剤は,ジベレリンの合成を阻害する作用のみを持つため,すでに植物体の中に含まれているジベレリンについては,効果がない。したがって,わい化剤が効き始めるまでには時間がかかる。
すでに植物体の中に含まれているジベレリンは,次第に分解されて植物体の中の濃度が低くなり,ジベレリンの働きが徐々に弱まり,わい化剤の効果がでてくる、わい化剤は,下から上に移動する。

◎主なわい化剤の種類


◎ウニコナゾール
  【(ES)-(RS)-1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-3-オール】
  商品名:スミセブン液剤
  成分 :ウニコナゾール0.05%
  使用法:茎葉処理および土壌潅注
  特徴 :単子葉,双子葉の草本,木本など多くの植物に高い効果を示し,わい化や花芽形成促進などにも効果的である。茎葉処理の場合には植物全体,特に新葉に均一にかかるように散布する。

◎パクロブトラゾール
  【2(RS 3RS)-1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ペンタン-3-オール】
  商品名:バウンティフロアブル(水和剤),ボンザイフロアブル(水和剤),スマレクト粒剤,バウンティ粒剤,エムマイティ9号・6号
  成分 :商品名ごとで成分含量が異なり,パクロブトラゾール21.5%,2.5%,2%,0.6%,0.06%,0.09%
  使用法:茎葉処理および土壌潅注
   特徴 :単子葉,双子葉の草本,木本など多くの植物に高い効果を示し,わい化や花芽形成促進などにも効果的である。茎葉処理の場合には植物全体,特に新葉に均一にかかるように散布する,土壌潅注として使用する場合は茎葉処理に使用するものより10倍ほど薄い溶液を使用する。


◎ダミノジッド(別名 アミノサイド,SADH)
  【N-(ジメチルアミノ)スクシンアミド酸】
  商品名:ビーナイン水和剤
  成分 :ダミノジッド80%
  
  使用法:茎葉処理

バウンティフロアブルはここを参照





 植物成長の不思議(植物ホルモンの利用)

芽が出る、茎や葉を伸ばして花や実をつける。どんな方向に蒔いた種も芽は上を向き根は下に伸びる。当たり前のことですが実に不思議な自然の営みです。
 茎や根の先端には成長を促す何かがある。多くの研究が行われました。イネ科植物の芽の先端を切り落とすと残された茎の成長は完全に止まります。ところがその先端を元の切り口に乗せると茎が再び成長することが発見され、成長は先端で作られ茎の方に広がる微量の物質に依存すると考えられました。やがてこの物質は「インドール酢酸」という化合物であることが分かり、他にも同じ作用を示す物質が幾つも見つけられています。これら化合物を総称して「オーキシン」と呼び、最初の植物ホルモンとして認識されました。幼植物の細胞の伸長、発根作用、花芽を作る、受精なして実をつける(単為結実)などの作用のほか、芽が光の方を向く「屈光性」や芽や根が重力を感知して上や下を向く「屈地性」にも関与しています。
 イネの苗がひょろひょろと長く伸びる「イネ馬鹿苗病」の原因物質として病原菌から単離された「ジベレリン」も重要な植物ホルモンです。最初は菌のだす毒素として発見されたものですが、さまざまな植物にも含まれることが分かりました。細胞を長く伸ばし茎の成長を引き起こす作用をもち、インゲンなどのマメ科植物や夕ケノコが急速に伸びるのも、しだれ桜や梅がしだれるのも芽の成長時にジベレリンが多く生産されるためです。矮性の品種はこの逆です。茎や根を長く伸ばす(伸長促進)、単為結実、開花を早める(開花促進)、種子を発芽させる(休眠打破)などの作用があり、受精なしで実をつけるため種子ができない単為結実の作用は「種なしブドウ」として農業の分野で広く利用されています。
 植物ホルモンは本来植物が体内で作り出すものですが、これを外から与え植物の生理機能を促進したり、抑制する薬剤を「植物成長調整剤」といいます。植物ホルモンには上記のほかサイトカイニンやエチレンなどがあり、農業の分野では利用されていますが、家庭園芸ではまだそれほど多くありません。
 植物成長調整剤はどの植物にも同じ効果が現れるとはかぎりません。また極めて少量で作用を示すため、使用時期や濃度を間違えると全く効果がなかったり、逆に害になったりします。使用説明書をよく読み正しく使うことが大切です。このことをよく知り上手に使って頂くと園芸がより巾広く楽しいものになるでしょう。


◆ 具体的な薬剤について

◎ 挿し木や挿し芽の発根を促進する
切り口に塗るとオーキシン作用で発根と活着が促進され、その後の生育もよくなる発根剤「ルートン」が市販されています。

◎ 生育促進および果実肥大、開花促進
ジベレリンがこの作用を持ち、「ジベラ錠5」が花きや野菜に使われます。

◎ 草丈の抑制
「バウンティフロアブル」にはジベレリンの生合成を抑え、細胞を小さくし、草丈を抑える作用があります。花の大きさには影響を与えません。矮化剤と呼ばれ、キク、シャクナゲ、ツバキ、ツツジ、パンジーなどの樹形、草姿をコンパクトにします。茎葉散布、土壌潅注のいずれでも使えます。「ビーナイン」もキクの福助作りやアサガオなどの草丈抑制に使われます。

◎ 休眠打破
種子の休眠打破、発芽温度巾の拡大、発芽期間の短縮、短日処理中の長日植物の休眠打破などに「ジベラ錠5」が有効です。

◎ 着果促進
オーキシン作用をもつ「トマトトーン」は、トマトやナスの花を確実に実にする効果があります。花房の蕃が半分ほど開花したころ、花房全体に所定濃度の液を一度だけ噴霧します。スプレー剤もあり薄める手間がいらず便利です。ビックリグミは花が落ちやすくなかなか実が成りません。ジベレリン100ppm(ジペラ錠1錠を水50mlにとかす)を満開時および開花2週間後の2回散布すると着果を促進します。

◎ 種なしブドウを作る
家庭園芸では、ジベレリンを種なしブドウ作りに使うことをメーカーは薦めていません。満開を予測するなど技術的にやや難しく、失敗すると種まじりとなり苦情のもとになるからです。それを覚悟で楽しむことはできます。

 デラウェアにはジベレリン100ppmを第一回目:満開約2週間前に蓄を浸漬、第二回目:満開約10日後に果房に散布します。

 巨峰にはジベレリン25ppmを第一回目:満開時に花房を浸漬、第2回目:満開の約10日後に果房に散布します。

 
開墾作業をしながら健康野菜を栽培してます
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