浅田次郎さんの短編集「月のしずく」を読む。表題作を含めて優しい人の物語が続く。幼児体験での、嫌な思い出は忘れてしまう。そんな風に人間は出来ている。しかし、深層心理としては残っているのだろう。思い出そうとすると、それが夢だったのか現実だったのか、曖昧な区別のつかない記憶となっている。「ふくちゃんのジャックナイフ」はそんな物語だった。「ピエタ」もそんな物語。ミケランジェロの傑作、ピエタを実際に見たいと思った。