秩父の皆野町にあるムクゲ自然公園に行ってきた。個人が運営している大きな公園内には美術館があって、3月24日まで大西暢夫さんの「東日本大震災沿岸600キロ」という写真展が開かれている。しかもこの日は大西さんのトークライブ。うららかな春の一日、園内の秩父紅という赤い福寿草の群生をカメラに納めて、久しぶりに大西さんに会ってお話を聞きたいと思って出かけた。
ところが家を出る頃はそれほどでもなかった風が、車のハンドルが取られるほどになり、公園に着いた頃は嵐の真っ只中にいたようで、黄砂に花粉、土埃や落ち葉、更には小雨まで加えた突風が、立っていることもできない程吹き荒れて、園内の散策もアウトドアランチも福寿草も叶わなかった。
その分、大西さんともゆっくり話ができ、写真もじっくり見ることができた。言うまでもなく悲惨な状況の写真ばかり。トークも震災後の様子や、被災者の方々の話から現在の被災地への支援活動まで、写真や音声も交えた話に、忘れてはいけない記憶、時間とともに風化していく記憶を再び鮮明にしてきた。