文化財保存について
2011/04/17 (日)

埼玉県内のある町に、大正時代に著名な建築家が設計し建築された木造家屋が、市の公共施設建築予定地内にあって、解体されようとしている。保存運動に力を貸して欲しい、という相談を受けて、NPO関係者や元副知事、大学教授など5名で現地を見にいってきた。
建物は事務所棟、食堂棟、倉庫(土蔵)の3棟だが、食堂棟は既に解体に入っている。広大な敷地にうっそうと茂っていた大木は、無残にもすべて切り倒されていた。町の中心部では貴重な資産であったはずなのに。「森林文化都市」が謳い文句のはずなのに。
さりげなく手の込んだ和洋折衷の洋館は、手入れがよかったのか、元々の建築仕様がよかったのか、保存状態は非常に良好だった。建築雑誌にも何度も掲載されるなど、文化財的な価値はありそう。ただ、残して目的を変えて使用するには、それなりに予算も必要になるだろう。市は図書館などを新築するようなので、別館として博物館的使用を前提にしたプランを持ってはきたが。
市長と一時間半ほど面会の機会を与えられ、プランをひととおり説明したが、案の定反応は鈍い。市議らの説明によれば、市長は任期2年を残して、大過なくその任期を全うしたいのだそうだ。
取りあえず建物は主な部材は品番を振りながら解体し、保存されることになりそうだが、果たして移築される日がくるかは不明。

 
縦振屋精兵衛菜園残日録
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]