水になった村
2007/09/14 (金)

仕事帰りに長女を誘って東中野で映画「水になった村」を見てきた。
劇場があるビルの喫茶店の中からOさんが先に私を見つけて、うれしそうに「見に来てくれたんですね」と出迎えてくれた。勝手にこの日記で紹介したこと、日記仲間にOさんの写真に強い関心がある人がいること、興味があってネットでOさんの仕事を拝見させてもらったことなどを話した。このBBSの一部を携帯に呼び出して見せると「縁ですねぇ」と感慨深げだった。
話が畑に及んで「折角発芽した大根の半分以上が鳥に食われちゃってたよ」というと、「あ〜、行きたいのに行けないんですよぉ」と残念そうだった。
喫茶店の半分を使って展示されているOさんの写真を見た。「大部分地元の写真展に出しているんで、いいのが残ってないんですよ」とのことだったが、徳山村を題材に選んだ彼の気持ちは充分に伝わってくる。被写体をありのままに見ようとする、構えたところのないいい写真だった。
「週末はもう少し入るんですけどねえ。寝転がって見れますから」という自虐的な言葉の通り、観客の入りは今ひとつだったが、その分しっかり堪能してきた。
水没前の村に暮らすジジババの生活は、私の少年期の体験とあまり大差がない。母や祖母を思いながら鑑賞した。映画ではこういう生活や農村文化がダムという人為的な要因で消えていく様を捉えているが、現実にはダムが造られなくとも、自然消滅してしまうことこそが問題なのだと思う。登場するジジババは元気だが、15年という長い間に衰え老いていく過程が容赦なく描かれている。無常を思わざるを得ない。
正直な感想も記しておこう。0さんはやっぱりスチールカメラマンだと思う。映画よりも写真の方が遙かに饒舌だ。おそらく本編の数百倍あるいは数千倍の尺の素材があるに違いない。まとめ切れていないのではないかとも思った、大きなお世話だとは心得つつ。

i0 (1) 映画「水になった村」パンフレットより
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縦振屋精兵衛菜園残日録
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