食品添加物
2010/02/26 (金)

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肝臓・じん臓泣いている
 黄色4合、同5合、赤色2号、同102号、同103号、紫色1号、青色2号――ペンキの種類ではない。あるチョコレートに使われている着色剤の正体である。

 「さやをむいた生えんどうを買って豆ごはんをたいたら、ごはんまであざやかな緑色に染まってしまった」。神戸生活科学センターに豆ごはん入りのおひつ片手に、一人の主婦が駆けこんできた。
 同センターが生のえんどうを調べたところ、古いえんどうを水にひたして柔らかくしたうえ、青色1号と黄色4合で着色、新えんどうが出回る直前に売り出したものとわかった。

 検査のために水に浸してあった古えんどうから、数日後には芽が吹き出して、職員一同大笑いになった。この話、笑いごとですんだのは、使用されていた着色剤が食品衛生法で決められたものだったためだが、法を破って色を使った例も跡を断たない。

 昨秋開いた兵庫県立社(やしろ)高校の文化祭。市販のだ菓子を集めて、どんな色が使われているか展示しようとの話が持ち上がった。さっそく買い集めた14種類のゼリーやビンズ、ガムなどを同センターで分析したところ、十種類にのぼる色素が複合して使われており、うち一種は使用禁止のものを使った「ひ菓子」だった。
 同県衛生部で問い合わせた製造元は「知らなかった」とケロリ。東京でも5月始め発ガン性のある着色料を使った「きな粉」が見つかり、販売停止処分になった。

 またつい最近、神戸の食品会社製の違反色素を使ったチョコレートが北海道で発見され、廃棄処分になっている。これらはいずれも「黄色1号」が犯人。ジュース、ジャム、たくあん、つくだに類が着色されていることは誰でも気ずくが、ハム、ソーセージ類も本来の肉の色ではない。七味とうがらしや、白ゴマを化粧した黒ゴマにいたっては、ご存知ない主婦も多いだろう。

 ところで背番号もどきの赤色2号や黄色5号とは、いったいなんだろう。
 現在使用されている着色料は、おおざっぱに分けると二種類。タール系色素とそれ以外の天然色素や鉄および銅の化合物だ。
 さきほどの「黄色1号」は学名を「ナフトール・イエローS」というタール系色素、赤色2号、同3号、青色1号など“背番号色素”はすべてタール系だ。
 この色素の“正体”は石炭から取れるコールタールで、本来は染料用。
 したがって合成の過程で有害物質が混じるケースが多い。

 赤色103号。タール系色素学名エオシン。赤く染まった福神づけや赤いソーセージなどの化粧品はこれ。赤インクの原料でもある。
 サンセットイエローFCF、映画の題名ではない。オレンジジュース、たくあん、うになどの黄色の本体、黄色5号だ。タール色素を使った食品を長く食べると、多少の差はあってもすべて肝臓やじん臓に影響することがわかっているほか、タール系色素の中には発ガン性の疑いが濃いものもある。
 このため厚生省はここ三年間に赤色1号、4号、5号、101号、黄色1号、2号、3号、緑1号などタール系色素の使用を次々に禁止した。

 他のタール系色素はどうなんだ―禁止された赤色4号や黄色1号がつい最近まで大手を振って使われていただけに、消費者や学者は疑問を投げかけている。
 一方、野菜、チューインガム、こんぶ、みつ豆の緑色寒天用などには、葉緑素に鉄や銅をくっつけた非タール系の鉄クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウムが使われている。
 また最近にんじんやとうがらしなどの黄色色素―ベーター・カロチンは毒性がないというので、バターやチーズの着色に用いられている。
 「カロチンにしても天然ものなら大丈夫だが、合成となるともう安全とは言い切れない」
 阪大医学部の後藤稠(しげる)助教授(衛生学)は言うのである。


(43、6、25、日経新聞)

 
ryugoro7の菊日記
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