菊の電照について
2009/12/04 (金)

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懸崖菊の冬季(1月から4月)の電照は3時間行っています。

時間の目安が分からない方は下記を参考に!

時間と明るさの関係は知らない人もいるでしょう。



光中断には照明の長さだけでなく,強さ(明るさ)も要因として影響します.すなわち,暗期の中断は,強い光であれば短時間でよく,弱い光であれば長時間を必要とします.キクを材料にしたCatheyとBorthwickの研究(1964)では,6,000lxの光を暗期の真ん中に1分間与えるだけで光中断の効果が現れています.一方,電照ギクの営利生産では,実用上50lxを目処に光を照射しています(ただし,挿し穂を採る親株など,確実に花芽分化を抑制したい場合は100lx以上の光で照明します).50lx程度の弱い光では,光中断は2〜4時間の照明が必要となります.栽培面積の大きい営利生産では,どれくらいの間隔で電球(白熱灯)を吊すかがコスト面で問題になります.現場では電球とソケットの数を少なくするため,光中断の効果があるギリギリの照度(50lx)で照明するのがふつうです.以上,教科書に書かれている「数分間」は強い光の下で言えることで,現場では光が弱いために数時間照射しています.
電照ギクにおける光中断の好適時間は,同じ50lxの明るさでも,季節によって変化します.上で2〜4時間と書いたのはそのためです.相対的に高温で長日の8月〜9月では2時間程度の照明で十分ですが,低温短日で生殖的傾向が強くなる11月〜1月では少なくとも4時間照射しないと花芽分化を完全には阻止できません.アクセル(花成刺激)とブレーキ(光中断)のように考えれば,アクセルの弱い初秋ではブレーキは軽くてすみ,アクセルの強い秋冬季ではブレーキも強くなくてはならないということでしょうか.

林 孝洋(京都大学大学院農学研究科蔬菜花卉園芸学研究室)

 
ryugoro7の菊日記
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