2009/01/18 (日)
リフトには脱索というトラブルが起きることがあります。
搬器がつり下げられているワイヤーが、支柱の車輪から外れてしまう事をいいます。 リフトには、これを検出する装置が付いているので、脱索が発生すると自動的に停止する仕組みとなっています。
復旧作業は容易ではなく、チェーンブロックなどを用いてワイヤーを元に戻します。
リフトの支柱の上に、鉄骨で組んだ三角状のものが取り付けられています(リフトのメーカーによって形状はちがいますが) 通常、ここには放送用のスピーカーなどが取り付けられていますが、この鉄骨の先端、ワイヤーの真上あたりにフックが付けられています。 脱索した場合は、このフックとチェーンブロックを使ってワイヤーを元に戻します。
支柱によっては、ワイヤーが車輪の下を通っている場合があります。 このような時は、脱索するとワイヤーが上に跳ね上がります。 ですから、このワイヤーを地面側へ引っ張るように、地面にフックが埋め込まれています(たいていは雪で覆われて見えませんが..)
脱索は非常に危険です。ワイヤーが跳ねて搬器が大きく揺れます。 恐らく、振り落とされる人も出てくるでしょう。 脱索の最も大きな原因は乗客にあります。 リフトを途中で飛び降りると、ワイヤーが跳ね上がり、運が悪いと脱索となります。 先日、戸隠高原スキー場でこれが原因で脱索事故が発生しました。
リフトに乗ると、必ず「飛び降り禁止」と書いてありますがあれは主に、飛び降りた人が怪我をするからではなく、飛び降りによって脱索を誘発し、他人を危険に陥れる可能性があるから書かれているのです。 ですが、書き方が悪いので一般の人にはそこまで読み切れませんよね。
私に言わせれば、リフトの構造も良くないと思います。 飛び降り禁止と書いておいて、全員が必ず守ってくれる世の中なら法律違反は発生しません。 世の中には必ず守らない人がいると、そう考えて機械を設計するのがスジだと思います。
また、意図しない飛び降りが発生する事もあるのです。 これも戸隠高原での事例ですが、リフト搭乗中に乗客が心臓発作か何かで急に死亡してしまい、リフトから落ちるといった事例がありました。 死亡まで至らなくても、意識不明になってしまう事は大いにあるでしょう。
そう言う点では、残念ながらリフトの設計思想は、他の機械に比べて全体的に詰めが甘いと私は思っています。
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