リフトは急に止まらない
2009/01/16 (金)

スキー場で必ずと言って良い程、利用するのがリフトです。

リフトは法律的には遊園地のジェットコースターなどの遊戯施設と違い、鉄道に近い乗り物です。

スキー場でリフトは必ず使う物だし、スピードもさほど早いものではないので、甘く見る人が多いのですがリフトは実は危険な乗り物です。

何せ、動いているものに飛び乗るのです。そんな公共交通機関は他に無いでしょう、きっと。
それに、お客さんの技量もまちまちです。リフトは乗る人に技量を要求する乗り物なのです。
国体レベルの人から今日初めてスキーをする人、子供からお年寄りまで色々な人が利用します。

そんな訳で、リフト乗り場、降り場で監視している係も、あれで意外と大変です。

たとえば、リフト降り場を想像して下さい。
乗り降りの時に搬器(注)がゆっくりになるタイプのではなく、シンプルなペアリフトのように乗り降りの時にも速度が変わらないタイプのリフトです。

あなたが、リフトの監視係だったとします。
小学生中学年位の子供が、リフトに乗ってきました。
リフトから降りて1m程進んだ瞬間、何がどうなったかわかりませんがいきなり転倒したとします。
さぁ、監視係としてはどうしますか?

もちろん、停止ボタンを押してリフトを停止させなければいけません。
しかし、リフトはピシャリとは止まりません、停止ボタンを押しても3,4メートルは進んでしまいます。
もし、ぴしゃっと止めたら乗っている他の人が振り落とされてしまいます。

もし、リフトから降りて1m位進んだところで転んだら、すぐ後ろから今まで自分が座っていた搬器が追いかけてきます。
停止ボタンを押しても3,4mは進んでしまいますから、この状態では子供が搬器にはねられるのは避けようが無いのです。

もし子供が転んだままうまく地面に伏せていれば、頭の上を搬器が通過していくことはあります。

じゃあ、リフトを止めても無駄なのか?

いえ、今、子供が乗っていた搬器が通過した6秒後にはすぐ次の搬器がやってきます。
止めないと子供は次の搬器にもはねられる事となります。

ですから、少なくとも次の搬器が来るまでには止めなければなりません。
でも、その止めるタイミングが難しいのです。

子供が転んだ瞬間にリフトを止めれば、その子供が乗っていた搬器が頭上を通過して、子供の少し先に達したあたりでリフトが止まるでしょう。
でも、止まった直後の搬器は前後に大きく振られています。
転んで立ち上がろうとした子供の頭を、振れている搬器が直撃する恐れがあります。
ペアリフトの搬器でも、重さは60〜70kgありますから当たり所が悪ければ大きな怪我をします。

そのタイミングだと、次の搬器に乗っていた人は降りる直前なので、着陸体勢をとっています。前のめりになっているわけです。
そんな時にリフトが止まると、結構な確率でその人はリフトから落ちてしまいます。

そんな訳で、場合によっては転んだら即、停止というのは良いようであまり良い結果を生まない事があります。

このような場合は、子供が乗っていた搬器が十分、子供から離れ、次に乗っている人が降り場の足がつくところまで来て、かつ、転んでいる子供にぶつからないような場所でリフトを止める..これが一番良い止め方です。

しかし、この止め方だと傍で見ていると、すぐに止めないので「なぜすぐに止めない!」と苦情が来る事があります。(だいたい父親が多い)
上のような事情を説明するのですが、我が子の事故ゆえ既に冷静さを失っている事が多く、なかなかご理解頂けないのが現状です。

注)搬器(はんき) リフトの人が乗る部分の事です。この例ではペアリフトの椅子の部分です。

 
ohyakusyou2001の地産地消日記
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