2008/12/29 (月)
アースは大事だ... とはいっても、地球環境の話ではなく電気の話。 電気の話とはいっても、洗濯機や電子レンジのアースではなくて、オーディオアンプの話。
オーディオアンプにおいては(いや、別に他の電子機器も同じだけど)アースの処理方法が性能を左右する場合がある。 回路図では「この記号を書いた先の配線は全部、まとめてつなげていいよ」という意味でアース記号が使われる。
ならば..とやたらめったらつなぐと、確かに動作はするのだが、雑音が多いなどのトラブルに遭遇する事がある。 目に見えない電気信号が、どう流れるか...常にそれを考えながらアースの配線をせねば、良い配線はできない。 回路図には、普通、そこまでは書いてないので、信号の流れを回路図から読み取らねばならないのだ。
初心者向けの製作記事だと、よく実体配線図なるものが出ていることがある。 これは、ケースの中の配線を忠実にイラストで書きあらわしたもので、これにはアースの引き回し順序などの情報が含まれている。 たいていは、このイラスト通りにきちんと配線をすれば問題はないはずだ。
オーディオや家庭で使うコンピュータなどの回路では「アースにつなげる」といっても、実際に大地に接続する事はほとんど無い。 こういう時の「アース」は地球に電気的に接続する本当のアースではなくて「電気が帰るための共通の線」位の意味だ。 また、このアースは各部の電圧を定義するときの基準でもある。 「この電線には12Vの電圧がかかっています」といえば、それは普通、アースとその電線との間に12Vの電圧がかかっているという意味だ。 電圧というのはあくまでも、相対的なものなのだ。
これが、洗濯機のアースというと話が違ってくる。 洗濯機の説明書を見ると「必ずアース線を接続して下さい」という事が書いてあるハズ。 この場合のアースは、まさに地球と洗濯機を電気的に接続する事を意味する。 これは、湿気の多い場所で使う電気製品の場合、万一、漏電した際に使用者を感電させないようにするためだ。
アースで有名な本といえば伊藤健一氏のアースシリーズが有名。 たくさんのたとえ話とユーモア、そして挿絵を使ってアースの解説をした本。 アースと回路、アースと静電気、アースとパスコン、アースと雑音などなど、全15巻から成る。 よくもまぁ、アースだけでここまで書けるなと思う。
「スペースシャトルや人工衛星は、アースをとるために地球から電線を引っ張っているのか?」 とか 「宇宙船が月に着陸して、大地にアースをとったらそれはMOONと言うべきか?」 などなど、発想が面白い。
電気に興味のある方で、まだ読まれてない方は一読をお勧めします。
|