自給率を上げろと! と言うけれど...
2008/04/23 (水)

今日は、圃場6にて昨日のマルチ張りの続き。
昨日、半分以上張っておいた、その続きから。
10時頃にはマルチ張りは完了...だけど...
この畑は緩い斜面にあるので、畝の谷間に置いたマルチ押さえの土が、激しい雨で流されてしまう恐れがある。
なにせ、全面マルチなので雨水が染み込むところが無いのだ。
もちろん、水抜きの穴は開けてあるのだけど、一度にたくさんの雨が降るとそれでは排水が間に合わず、畝の谷間を雨水が流れ下る事となる。

そこで、谷間1本1本の所々(4mおきくらい)に藁の束を置き、土が流れるのをそこでブロックするのだ。

この藁の束を置く作業が、また、大変。
なにせ、畝をたててマルチを張った上を歩くのだから、藁の束をたくさんかかえて、畝の谷間を歩く訳で、これが歩きづらいったらありゃしない。
何度も行ったり来たり..で、足腰にくる。

藁を配り終えたところで、ちょうどお昼。

おまけにこの畑、耕す前には鹿の足跡が沢山!
このままにしておけば、折角張ったマルチを鹿にボロボロにされてしまう。
おりしも明日は雨。鹿は雨の夜によく動く。
午後は、畑を取り囲むようにネットを張る。
畑の周囲に張るので、土が硬くてネットを張る杭がささらない。
発電機と電気ドリルを持ってきて、地面に穴をあけてパイプを差し込んでいく。
ネットを展開して、差し込んだパイプにパッカーで止めていく。
ネットの長さ200mちょっと。鹿のおかげで、全く余分な作業だ。

その後は、レストラン畑にてミニチンゲンサイの定植準備。
施肥をして耕してマルチを張る。

最後は、圃場7の耕耘。この畑は先日、枯れた緑肥を鋤込んだのだが、明日、雨ということでもう一度よく混和しておく..が、時間切れ、最後までできなかった。

一日の作業のしめくくりに、ジャガイモ畑に行く。
萌芽前に畑の一部分にトレファノサイド粒剤を撒布。どれくらい雑草の抑制効果があるのか、比較するために。

今日、一つずついいことと悲しい事があった。

悲しい事..鳥が死んでしまった。昨日まであんなに餌をよく食べていたのに。やはり小鳥はなんの前触れもなく、あっけなく死んでしまう。

いいこと..道を走っていたら、林の中に古いステレオセットが捨ててあるのを発見。まだ下草も生えてこないので、よく分かる。
もしや..と思って見に行くと..やはり真空管式。
真空管だけ引っこ抜いてもらってきた。捨ててある位だから、ダメなものもあるかもしれないけど。
製造完了から30年以上が経過。もう、国産の真空管は貴重品なのだよ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
予告した「自給率を上げろ!」と言うけれど

他の方のブログや、ニュース記事に付けられたコメントを見ると、皆さん、程度の差はあれ自給率の低下には一定の心配があるようだ。
誰もが、自給率を上げろ! と声を上げているが、次にくる言葉はたいてい、政府は無策だ、百姓は何をやっとる!とくる。

ハテ?? 政府や百姓が輸入を奨励している訳ではないよ? 輸入品を好んで食べておられるのは、皆さんご自身の行動じゃないの? それとも、だれかに無理矢理輸入食品を食べさせられているの?

「みんなで自給率を上げていこう」 というスローガンなら分かる。でも「おまえらが(政府や百姓が)自給率を上げろ!」と言うのはどういう事か?

もっと言葉を補えば...
「我々消費者に、欲しいものを欲しいだけ国産品が供給できるように、政府も百姓も努力せよ」という事なのかなぁ。

例えば、国産小麦粉で作ったパンが食いたいから、もっと小麦を作れ..と言っても、そりゃ無理だ。
だって、日本には梅雨があるもの。
企業化して合理的に栽培すればできるんじゃないの? って意見もあるけど、合理的な考えをつきつめていけばいくほど、日本での麦栽培は否定されるのではないかと思う。
品質は良くない、梅雨のおかげで文字通り、収量はお天道様まかせ..こんなリスクの高い商売は無いよ。それを補って余りある程の高値が付くのなら別だけど。

こうして考えてみると「自給率を上げろ!」という文句は、お天道様や大規模農業に適さない山が多い地形に大して文句を言っているように見える。
人間界のルールや要求を守ることを、自然に求めたって無理です、これは、以前「生きているか、生かされているか」で書いた通り。 

合理的な考えを農業に..って言うんだったら、稲作はすでに、すごく合理的じゃないですか?
だいぶ消えてしまったけど、まだ十分に田んぼや用水路は残っているし、あらゆる作業が機械化されているし、栽培者も習熟している。リソースは十分にある。何より、気候面から考えても、栽培自体に無理が少ない。すでにあるこれらを活用することは、十分に合理的な事だと思うのだが...

ただ、米については供給側にも問題があると、私は思う。
テレビで「どうする! 日本の食糧自給」みたいな討論番組をやると、生産者側にはいかにも百姓 って感じのおっちゃんが出てきて、開口一番「日本の主食は米以外は絶対にあり得ない」なんて、いきなり言い切っちゃう。

まぁ、そうなんだけど、言い方をもっと考えた方がいいよ。
企業なんかを見習いなよ、そういうところは。
「健康のために野菜ジュースを飲みましょう」なんて言ってて、裏でしっかり遺伝子組換え作物を栽培しているところとか「お客様の為に値上げしません」と言いつつ、儲からない店舗は残された人の事を考えずに、サッと引っ込めちゃうところ..あたりが参考になるんじゃないかな。

それと、産業給食。会社や学校の食堂とか、仕出し弁当とか、ファミレスのライスとか。
あんな不味いご飯を出してちゃダメです。不味い食べ物は、人から見下されるようになります。
不味いご飯は、お米の消費促進の敵です。

私も、まず最初に何が何でも米ありき..って考え方には賛成できないけど、様々な面から考えていくと、やはり結論は米の消費拡大をはかるのが一番良いと思う。

あくまでも自給率という数字にこだわるのなら、米と肉が一番数字を動かす力が大きい。
中国産のネギやニンニクを避けて、割高な国産品を買ってくれている人には、もちろん野菜農家として感謝するけど、野菜は自給率という数字に変化を起こす力はそんなに無い。
やはり、数字を一番手っ取り早く良い方向へ持っていこうとしたら、よく効くのは米を食べることらしい。

 
ohyakusyou2001の地産地消日記
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]