2006/04/27 (木)
数日前より、こちらのホームセンターでも夏野菜の苗が店頭に並びはじめた。 まだまだ早すぎる。三週間は遅らせても良い。 もちろん、まだ霜は降るし、少ないが積雪の可能性だってある。 数年前、5月に入ってから数センチの積雪があり大騒ぎになった。
でも、結構、買っている人が多い。それも、案外、お年寄りに。 お年寄りというと、ちゃあんと昔から言い伝えられている蒔き時、植え時の時期を知っているような気がするのだが、なぜだろうか。 ビニールハウスの中に植えるとはいっても、暖房が無いビニールハウスではまだ無理。ちょっと冷え込めばハウスの中とはいっても氷点下になる。
さて、食品の安全性に興味をお持ちの方はもう、ご存知かもしれないけど、5月29日から食品衛生法にポジティブリスト制が導入される。 ポジティブリスト制の下では、原則は全ての食品について農薬の残留が認められなくなる。 そういう原則のもとで農薬ごとに残留基準が認められ、それ以下の残留濃度のものは流通が許される。 つまり「流通させてもいいもの」のリストを作って、それに載っているもの以外は流通を禁止するという制度。
今までは「流通をさせてはいけないもの」のリストがあり、そのリストに該当するものがあった場合は流通を禁じていた。 だけど、その肝心な「流通をさせてはいけないものリスト」は、世の中のありとあらゆる化学物質を羅列していた訳ではない。 たとえば、世界中どこを探しても農薬として使われていない、まさしく想定外な物質が高濃度で輸入農産物から検出されても、それは想定外のため「流通させてはいけないものリスト」には載っていない。 リストに載ってないので、流通を禁止させる事ができなかったのである。 ポジティブリスト制では、このような想定外の物質の混入があっても「流通させていいものリスト」に載ってないということでハネる事ができる訳である。
正規に流通している農薬は、適正な使用をしていれば「流通させていいものリスト」の範囲内の残留濃度で済むことが確認されている。 だから、農薬の使用方法そのものには今までと何ら変化が無い。 問題は、農薬でないもので作物にかけるもの。 例えば、植物が元気になるという薬とか。 「流通させていいものリスト」では、参考となる適当な残留基準が見当らなかった化学物質については、一律基準としてその残留濃度を0.01ppmとしている。 0.01ppmというのは、現在の一般的な検査の検出限界の濃度だそうで、言い換えれば検出されたらダメだという厳しいもの。 出荷の前の日に植物が元気になる薬を作物にかけて、その0.01ppmの残留検査にパスできるのかどうかは誰も(恐らくはその薬の製造者も)確認してない。 また、それを確認するシステムも無い。
農業者の立場で見ると、出口だけ取り締まって入り口は開けっ放しかよ...という風にもとれる。 この制度が導入されたのは、もちろん望ましいことだとは思うが、どうも片手落ちの感が拭えないのである。
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