花夢ニトロとカルシウム
2010/10/14 (木)

この時期講習会などで次のような質問を良く受けるので・・・・・・・長くなりますが・・・・

カルシウムは花を咲かす時期に必要と言われますが10月に苦土石灰を鉢の表面にあげたのですがそれではだめなのですか?

カルシウム補給の石灰資材としての肥料は数種類の物が販売されていますが、石灰資材について一般には正しく理解されてない事があります。

 
1)石灰資材は“ただ単に酸性の矯正剤である”としか捉えていないのではないか?。

2)そして矯正する場合にはアルカリ度の高い方が少ない量で矯正できる、つまり費用が安くなるなどと考えていないか?。

3)菊の葉が雨に打たれた時に時に水が浸みて葉が痛むのはカルシウム不足が原因であることを知っているのか。

4)石灰(カルシウム)が不足する事による、菊の花腐れが非常に多いことを自覚しているか。

石灰の本当の働きは植物体内でペクチンと反応し、ペクチン酸カルシウムとしてペクチン酸マグネシウムや硼素と共同で細胞組織の壁を作っています。この壁は中葉とか中層と呼ばれているもので、細胞膜内の物質が外に浸透して溶出しないように、又、雨水や露等が葉や花に付いても急に浸み込んでいかないようにしています。

そのような事が分かってくると、ただ単に土壌のPHが低いからそれを修正したいと言う理由だけでこのような石灰剤、とくに消石灰などは使えないのです、増して追肥としての消石灰の使用は絶対に厳禁です、それは、高過ぎるPHの為に、必ず根を傷めてしまいます。

このような場合に普通は炭酸石灰か苦土石灰で調整すべきだと考えます、しかし栽培期間中には不都合な事が出てきます、それは炭酸石灰・苦土石灰などの資材は遅効性という大きな問題点があるからです。

栽培期間中はその問題点を解決しなければ良い結果を得ることが出来ないのです、ですから元肥のように肥料の効果が出てくる時期を待つ事ができる場合は問題はありませんが、栽培期間中に石灰の欠乏を見つけたからと言って慌てて炭酸石灰や苦土石灰を散布をしても間に合わないことが多いのです。

炭酸石灰・苦土石灰は土壌に施肥された硝安などに含まれる硝酸態窒素と反応し硝酸石灰として次第に溶解し始めるが、カルシウムとしての肥効を得るまでには2〜3週間の日数を必要とするからです。

良く、園芸関係の書物に石灰を蒔いてから1〜2週間経ってから種を蒔くと書かれていますが、これは苦土石灰等による害が問題なのではなく石灰が効きだすのに時間がかかるからです。

それでは、菊作りにおいてはどうでしょう、大部分の方が9月〜10月になってから苦土石灰等を鉢の表面に蒔きますが出来れば小鉢、中鉢、定植と植え替えするたびに少しずつ与え続けていて、8月上〜中旬に蕾が育つ時期から開花まで効き目が現れる為の施肥を心がける事が必要と私は考えています。

しかし、もし栽培途中でカルシウムが不足気味と感じた場合には、この時点で苦土石灰を施しても間に合わない事になるのです。

そこでこの問題点を解決してくれるのが硝酸カルシウムなのです。

硝酸カルシウムは菊栽培用には、KKアグリボから、ヤワラと言う商品名で発売されています、私の使っている、花夢ニトロも硝酸カルシウムを使いやすい液肥として工夫改良したものです


   花夢ニトロ(硝酸カルシウム)の特徴

イ. 硝酸カルシウムは完全水溶性であり、窒素分には植物が吸収しやすい硝酸態窒素を主成分とし、石灰をも含有しているために元肥としては勿論のこと、液肥として追肥用に使用した場合にも著しい効果を発揮します。

硝酸カルシウムにはCaとして28.0%の他、硝酸態窒素として15%を含有している。

ロ.速効性の硝酸態窒素は植物が直接吸収できる形態の窒素であり、その窒素を植物は自らの体内で亜硝酸 → アミノ酸 → 蛋白質と順次還元していく、そのために一般に市販されているアンモニア態窒素主体の化成肥料と比べてもその効果は著しく早い。

炭酸石灰などの石灰資材はそれ単独で使用しても不溶性のままであり、それが溶解するには土の中に存在する硝酸や硫酸・塩酸と反応する事が必要なのです、そこで初めて肥効が表れるのです、田畑では、硝安や硫酸加里などのように硝酸根・硫酸根を含んだ資材と併用すると良い結果が得られます、しかし前にも述べたように、石灰分はこの硝酸や硫酸・塩酸と反応して溶解し始めてから肥効が認められるようになるまで約2〜3週間の期間を要します。(遅効性)

一方の硝酸カルシウムは分子式:Ca(NO3)2・4H2O(又は注)−3 2H2O)で表すように、予めカルシウムと硝酸と水を反応させて固体とした物であるので、硝酸カルシウムを再び水で溶き使用するから速効性となり得るのです、この速効性という作用が硝酸カルシウム最大の特徴なのです。


ハ. 硝酸態窒素は土壌に吸着されず、土壌中では遊離した形で存在している為に土壌のPHに関係なく吸収される。

(アンモニア態窒素は土壌コロイド(粒子)と引き合って吸着している。従って、その溶解度はPHに影響される)

ニ. 硝酸態窒素は速効性ではあるが、その反面高濃度で使用した場合、根毛に損傷を受けるので必ず水に溶いて液肥として使用することが必要だと考えています。

i0 i1 i2 (1) 花夢ニトロ(硝酸カルシウム)

この袋で約1kg・・・・・およそ250円

私の場合約、切花50鉢福助100鉢分で120ℓの容器に10グラムを溶かしている、12000倍・・・これで硝酸態窒素は大菊液肥X換算で2000倍相当・・・・・・
この濃度なら定植直後から3分咲き頃まで毎日、潅水しながら施肥が出来る、樹作りの時期はそこにアミノ酸系の液肥を足せばよい。

毎日施肥をしても、この1袋で3ヶ月は持つ。


(2) 露地の花壇のスプレー菊・・・サンセットいわき
(3) 花壇の菊にも今日初めて消毒をする。

来年のスプレー菊は大躍進が出来そう・・・・・・この写真がその証し。
 
とんでもない 菜園日記
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