2005/01/05 (水)
二男,本日から一人で起床,朝食,出勤。 グループホームには世話人さんが通ってきてくださっているが,朝7時の出勤タイムである。その頃には二男,丸亀駅に到着していなければならない。 だからひとりで起床,食事,身支度すませて出勤しなければならぬ。 心配なので面倒を見に行ってやりたくなるが,それをしてはならんのだ。 そもそも。 グループホームで暮らすのは何のため? ・・・親亡き後,彼の生活が立ち行くように自立訓練するためだ。 障害をもつ人が庇護者である肉親を亡くした後,大小さまざまな問題がその人に降りかかることは容易に想像できる。 親として生きている間にできることは彼の身に降りかかる問題を知り,その問題に彼がどのように対処するかを見定め,不十分だったことを教え,訓練することだ。よりよく生きていくために。 死んでからは何もしてやれない。というか,「死」は私の責任の終わる時。・・・悲愴な気持ちで言うのではない。「死」は誰の上にも等しくやってくる。 だから,期限付きの命ある間にできるだけのことをしてやっておこうというだけのこと。
しかし,心配なんだよね,かーさんは。 だから物陰に身を隠す怪しい人物に変身。マスクにサングラス,付け髭とまではいかないが,探偵になったよーな身ごなし。 息子の出発予定時間の前にグループホームにたどり着き,玄関が開くのを遠くから凝視する。 ヤツが姿を現したのは予定を10分過ぎてから。こら!遅いぞ!しかし急げば間に合う。ゴー ファイト! 自転車を漕ぎ出すのを確認し先回りして乗車駅へ。
しかし,なかなか姿を現さないヤツにじりじり。たまりかねて携帯電話。近くまでは来ているようだ。後10分だぞ。「漕げ!漕ぐんだ!!力の限り!!!」 叱咤激励する自分。電話で話していたのでは力の限り漕げないことに気づきハッとして電話を切る。 丸亀駅前の噴水広場をウロウロ歩きながら遠くの方に視線を投げかける。 と。 やっと彼が現れた。急いで物陰に身を伏す。出発まであと4分しかないぞ。GO GO GO!!猛スピードで私の前を走り抜ける。 駐輪場に自転車置いた! よっしゃ よっしゃ その調子!行けーーーぃ!!
と,駐輪場の出口で立ち止まる。 手袋地面に投げ捨ててバッグの中をあちこち探している。 ん?何があったんじゃ??
探偵気分はここまで。ごめんよ。かーさん,辛抱しきれんかった。 思わず駆け寄る。「どうしたの?」 定期がない?!!ないの?ほんとにないの?と一緒に探す。 ないんだぁーーーーーーーーーっ!!
いいよ,切符を買えば。 気を取り直した折も折,電車はドラマティックに出発していったぁ。。。。。 ぽ・か・ん。 ・・・一瞬の間が長く続いたような気がする。
こんなことくらいでへこたれてちゃダメ!と必死でかーさんは自分を立て直したんだな。 時刻表に目をやると・・・次の電車が3分遅れで来る事に気づいた。これだと高松到着は予定していた電車よりも早い筈。 彼自身の対処の仕方を観察する予定だったのに,脳みそよりも先に手が動く。(きっと私って知能高くないんだ) 特急券,乗車券,パパパッと買って息子に持たせる。 丁寧にくどくどしく説明する時間的余裕はない。 しかし,予定外の行動に即座に移れないという特性をもつ自閉症の彼は肩を押してやっても足が前にすすまんのだよ。改札口で立ち止まってしまって動かなくなった。 あと1分で特急も出発してしまう。こういう時,世間の目なんて気にしていられないのだ!「行かんかーーっ!!乗るんじゃーーーっ!!電車の中で考えろっ!!」 怒声を張り上げてしもうたゾ。公衆の中で。 ハッとして足を進める二男。ほっ。
やれやれ。。。。
自分の車に戻ったら私の携帯がうぃーんと鳴る。爺やから。 爺やも心配でA地点とB地点まで息子の姿を確認しに行ったらしい。その報告だった。ありがたいよね。無事,数分遅れの特急で高松に向かったことを告げる。
息子の定期,もしかしたらと車の後部シートに目をやると・・・・あったのだ,そこに。ふにゃ・・・・。 急いで息子の携帯にその旨を伝えると私の言おうとした言葉「気づかなくてごめんね」を先に発した。
心の中がほんわり温かくなった。
爺やは午後,息子の訓練先に出かけるというので定期券を託した。
夜,ご飯が出来上がるのを待ちながらうとうとする爺やに感謝の思いがこみ上げる。 今日はご飯食べながら爺やと二男の通勤分析をした。 それぞれの地点の通過時刻を確認し,何に問題があるかを突き止めた。 爺やが眠そうにしているので,慌ててお風呂をたてて入ってもらう。就寝時刻は8時だぞ。 暗いうちから息子のために走り回ってくれたんだもんなー。眠くて当然よ。しっかり休んでくんなせー。
|