菊レポート「ウイルスとウイロイド」
2013/01/03 (木)

kumori.gif  参考著書「植物ウイルス 病原ウイルスの性状 (悠書館)」「植物病原アトラス」(ソフトサイエンス社)
 未だに完治方法が発見されてないウイルス感染。細菌や糸状菌(カビ)の病害とか最早領域が違うためである。細菌糸状菌は植物細胞の外から浸食または破壊をして増殖するが、ウイルスは直接細胞内にDNAやRNAが侵入するので薬剤での治療が出来ない。
 以前の私は、ウイルス病はDNA・RNAの侵入で細胞の機能が停止して細胞がそのウイルスのDNA・RNAの複写(増殖)を優先するために病徴がでると考えていましたが著書では専門用語が並び、そのような表現は記載されてないので正論かどうかは不明。はっきりと言えることは「ウイルス病の治療法はない」である。発症したら徹底的に炎熱消毒が好ましい。ウイルスは植物体すべてに回るので根も残さが残る土も消毒する必要があるだろう。
 ウイルスとウイロイドの違いは「螺旋構造・核酸塩基の種類」が大きな特徴
 ウイルス…二重螺旋構造で塩基は「アデニン・グアニン・シトシン・チミン」のである。これがDNA(デオキシリボ核酸)。
 ウイロイド…一重螺旋構造で塩基が「チミン→ウラシル」になる。これがRNA(リボ核酸)。
 大きさはウイルス>ウイロイドである。
 しかし共通する点もある。「ヌクレオチド」。『ヌクレオチド=糖+リン酸+4種の塩基のうち1つ』。大量のヌクレオチドが組み合わさって螺旋構造を作り上げ、完成したのが「DNA・RNA」。
 ちなみに遺伝子は「遺伝情報」を表し、その遺伝を伝える物質が「DNR・RNA」であって全く別なものなのだ。
 
 そろそろ本題です。「ウイルスとウイロイド」の病徴についてです。
 例1 インパチェンスえそ斑点ウイルス(ICSV)
  潜伏する植物体の種類が多く植物34科以上に感染している。主に草花・野菜に多く斑点・輪紋・黄化の壊疽または萎縮がよく現れる。キクではミナミキイロアザミウマの吸汁害で感染する。

 例2 トマトアスパーミィーウイルス(TAV)
     =キク微斑モザイクウイルス(ChMMV)
 2種は近縁種のウイルスです。
 キクには花弁の斑入り、葉の萎縮や奇形が確認されている。アブラムシの吸汁害で感染する。

 例3 キュウリ黄化ウイルス(CuYV)
     クリニウイルス属 Crinivirus
 特徴は葉の黄化または葉脈間退色斑、葉巻、株の脆弱化がキュウリでは確認されているが、キクに関しては感染とだけ記されていた。CuYVはオンシツコナジラミの吸汁害で感染。主に温室・施設・室内・密植で同中の繁殖が盛んになる。

 例4 キクBウイルス(CVB)
  感染しても無症状な場合があり、発症すると斑紋が現れる。感染経路は記載されてないが、おそらくアブラムシ等による吸汁害の感染であろう。

 例5 キク矮化ウイロイド
 字の通りで背丈が伸びなくなる。草丈は年々低くなり葉も小さくなる。感染経路は害虫の吸汁害以外にも人為的作業でも感染する。ウイルスにも同様であるが感染体に使用した農具(特にハサミやシャベル等)を消毒せずに健全株に使用した場合も人間の素手でも感染する。

 全ての感染経路が虫とは限らないのもウイルス感染も特徴です。また単種の感染では症状が出ない場合があり複数の感染で発症がある。
 ウイルス・ウイロイド病の対処法は
 「徹底した消毒と防虫」
 「感染発病株の焼却処分」
 「常日頃の観察」です。
 ひかし全てを熟すことは難しいのも現実です。上記よりも気軽な対処は「被害を最小限に抑える」でしょう。でも全部の事柄に言えるでしょう。

 
北の園芸士の「オニユリ研究」
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