文化の日なので・・・・・培養土について・・・薀蓄を・・・・
2013/11/03 (日)

今年菊栽培で苦労された方はその最大の原因が赤玉土を使う培養土に問題があったのかもしれません・・・・

又は培養土の力不足にあるかもしれません・・・・・力のある培養土と言うと肥料を多く混ぜた土だと思い込んでいる人が大勢いるのですがあなたは??・・・・

力のある培養土とは保肥力のある土の事で、土が沢山の養分を保持することができる土の事です・・・


培養土が養分を保持することができるのは陽イオン交換作用によるのです、陽イオン交換作用というのは、土に施用された肥料成分の中の陽イオンが、あらかじめ土の表面にあるマイナス電荷の手に保持されていた水素イオンH+、やカルシウムイオンCa2+、などと交換され土壌に保持されることです。

土に保持されるのはカルシウムイオンCa2+・マグネシウムイオンMg2+・カリウムイオンK+・ナトリウムイオンNa+・アンモニウムイオンNH4+・水素イオンH+などです。

一定量の土が保持できる陽イオンの量を陽イオン交換容量(CEC)といい、その量の多い土(CECが高い)ほど養分を多量に保持できます、また保持された陽イオンのうち、H+以外の陽イオン(塩基)の占める割合の高い土ほど養分を多く保持している土といえます。

一般に砂質の土は養分が流失しやすく、粘土質の土では流失しにくいのですが、これは大きい土の粒子(砂質の土)は塩基置換容量が小さいのに対し、粘土は塩基置換容量が大きいことを示しています。

粘土の中でも直径が0.002mm以下の粒子(コロイド)は養分を保持する能力が高くなります、そのために粘土は塩基置換容量が大きいのですが、なかでもモンモリロナイト(ベントナイト2:1型鉱物の代表)、はとくに大きく、《CECは乾土100g当たりのmg当量(me)で表され、1meは約6×(10の20乗)個のマイナスの手を持っている事を示すのですが、》ベントナイトは100me/100gもの値なのですが、日本の一般の田土に含まれるカオリナイトという粘土の場合にはベントナイトの10分の1〜20分の1ほどの5me/100g〜10me/100g程の値が普通です。

ベントナイトは菊作りに於いて手を加えれば人造田土を作ることで菊栽培に利用できる良質な粘土ですが、とても強いアルカリ性の土(PH11)でもあるので菊栽培に於いては猫のトイレ砂などをそのまま使うのはとても危険です・・・(培養土がアルカリ性だと葉が黄色になって成長を止めてしまう)

菊栽培に多く使われる腐葉土等が分解されて出来る腐植も塩基置換容量が極めて大きく腐植の成熟した腐植酸は塩基置換容量が300me/100g〜500me/100gと大変大きくなっています、ただ腐植と言うのは数ミリ単位の細かな腐葉土ではなく、粘土と同じくらいのとても小さな微粒子状の物なのでそのままの形で培養土に混ぜ込む事は不可能で、腐植は粘土と結びついて粘土腐植複合体となって養分を保持する形になっています。

しかし、たとえ数値が高くても菊作り用土として菊の木作りをすると言う観点から機能していない場合があります、それは、CECの数値は塩基吸着の量的比較はできるが、塩基吸着の強度自体を表示したものではないからです。

CECは窒素、石灰、苦土、加里のいれもので、CECが保持する肥料成分割合は、窒素20%、石灰50%、苦土20%、加里10%です。
(塩基飽和度は石灰50%、苦土20%、加里10%をいう)

リン酸は陰イオンですが、他の陰イオンのように溶脱されることはありません、しかし菊による利用率は低いので、普通の施肥量ではほとんど菊には吸収されないこともあります、酸性土や火山灰土の赤玉土等には鉄やアルミニウムが多く含まれ、反応性に富んでいるためリン酸イオンと反応して不溶性の化合物となっています、このため酸性土や赤玉土ではリン酸の肥効が極めて悪いといわれます、これをリン酸の固定あるいはリン酸の吸収といいます。

リン酸の固定量を表すにはリン酸吸収係数が用いられ、100gの土が固定(吸収)するリン酸のmg数で表されます、火山灰土はりん酸吸収係数が2000以上もあり100sの赤玉土があるとすれば2kg以上のリン酸が固定されることになります。

近年菊栽培に熱心なベテランの方たちはそのことに薄々気が付き冬の間にリン酸資材を使い赤玉土を発酵させる土麹作りに力を入れて赤玉土の表面をコーティングをして、赤玉土のりん酸吸収を抑えようとしていますが、それでもリン酸資材の量が絶対的に少ない事が多く、幾ら赤玉土の表面が真っ白になるほど放線菌や糸状菌でコーティングされても顕微鏡でも見ることのできない様な極小さなナノレベルの世界では放線菌や糸状菌でコーティングされた土は公園のジャングルジムと同じような隙間があるそうで、土麹を作るときに必要量のリン酸を加えて置かない限り、少々リン酸資材を混ぜ込んで土麹を作っても放線菌や糸状菌の働きの恩恵は受けても赤玉土のリン酸の固定を完全に断ち切ることは難しいのです。

赤玉土を使って菊作りをする場合に最も良い方法は、赤玉土が吸収できる最大値の燐酸を前もって吸わせてしまうことなのですが、赤玉土に吸収させることのできる水溶性のリン酸は過燐酸石灰だけですので、10kgの赤玉土がリン酸を横取りをしてしまう力をなくす様になるまで不足を補うためにはリン酸が17%の過燐酸石灰を1,3s程を混ぜ合わせるか(この場合過燐酸石灰の中の副産物の石膏が少々邪魔になる)、水溶性燐酸液を作りそれでリン酸処理をする事が最も良い方法です。

その方法は、大きな桶などに5kg程の過燐酸石灰を30ℓ程の水に溶き良くかき混ぜて3〜4日置いておき、その上澄みをまず3ℓ汲み上げて、汲み上げた桶にはもう一度水を更に3リットル程足して良くかき混ぜておき、先に汲み上げた水溶性燐酸液を10kg程の赤玉土を広げた所に如雨露などで満遍なく掛けてそれを乾かした後、後日、もう一度、上澄み液の水溶性燐酸液を更に3リットル程汲み上げて、前と同じようにして赤玉土に吸収させることが、リン酸の欠乏症対策には最も有効な手段です。

そのあとに汲み上げた水溶性燐酸液は1000〜2000倍ほどに薄めて週に1度ほど潅水すると良いと思います


菊栽培において最も気になる窒素について、塩基置換容量の大きな培養土と小さな培養土ではどのような違いや差が出るかに関しては、塩基置換容量の大きな培養土の場合、与えた液肥や、乾燥肥料が水に溶けて鉢の中に広がると、磁石が鉄釘を引き付けるのと同じ様に+の電気を帯びたアンモニア態の陽イオン(アンモニウムイオン)が即座に用土に捕まります、そのために同じく溶けた−イオンの硝酸態の窒素肥料が菊に吸われる事になるのですが、塩基置換容量が小さな培養土の場合には、+の電気を帯びたアンモニア態の陽イオンを捕まえる力が小さいので、菊にとっては有害なアンモニア態の肥料も硝酸態の肥料と一緒に吸収してしまうためにその害がでます。

菊は、アンモニア態の肥料を吸収して育つ稲などと違い、アンモニア態の肥料を吸収した場合新陳代謝の機能が低下して根や葉に薬害が出ます、軽い場合は葉の先端が壊死して茶色に枯れてきます、この症状が出た時に大半の方は消毒による薬害だと思ってしまうことが多いのですがあなたは大丈夫でしたか・・・・

ご自分の菊の葉の先端が(1枚の葉の3〜5箇所程の先端が)三角に茶色になっていたらそれは、消毒等の薬害では無く、用土の塩基置換容量と言う力不足による菊のダメージなのですが、更に症状が進むと、根が犯されて根腐れを起こし、生育が悪くなり最悪の場合は枯れてしまいます、この場合は水を控えめにすればするほど濃度の濃い肥料分が根に害を与えるのですが、多くの方は、それでも水のやりすぎだと思い込み悪循環を繰り返すので厄介です、夏の時期に高温が続いた今年は特にこの状態に陥った方が大勢いるようです。

又、塩基置換容量が小さな培養土で露地で栽培されていて、乾燥肥料は例年通り与えているが、良い天気が長く続いていて、ほとんど雨に当てていない方や、ハウス栽培でも毎日の水遣りを辛くして栽培している方が、9月になり蕾が出来て来て少し涼しくなった頃、秋の長雨に当てたり潅水量を急に増やしたりすると用土の中に分解されずに残っていた肥料が急に溶け出して大きな害を及ぼす危険が特にあります。

しかし、塩基置換容量の大きな培養土の場合にも落とし穴があります土に引き付けられた+の電気を帯びたアンモニア態の窒素は、用土の中にいるバクテリアによって、アンモニアが分解されて−イオンの硝酸態の硝酸になり、ちょうど、マイナスの磁石とマイナスの磁石が反発するように、用土から追い出されます。

これは気温の高い時期ほど活発に、又、アンモニア態の肥料を与えていればいるほどに多くの硝酸態の窒素肥料がどんどん湧き出てきます、その結果薄い2000倍ほどの液肥を与えても、夏の時期は、硝酸態肥料の価が大菊液肥V換算で100〜200倍などと言うとんでもない高濃度の液肥を与えたような状態になるので、この時期に水やりを極端に控えることはとても危険です・・・・水を控えた為に高濃度の液肥で根を痛めて更に水を控えるという悪循環で菊を枯らす人が今年の様に夏に高温の年には大勢増えてしまいます

水やりを普通にしていれば、余り追い込みをかけなくとも良く木が出来ます、しかしそれが何時までも続く訳ではなく、9月半ばになり気温が低下すると、バクテリアの活動も弱くなり、開花を迎える頃には土の中のアンモニア態窒素が硝酸態窒素に変るのはずっと押さえられて、土に捕まえられている肥料分は春の苗作りの頃に又、バクテリアが活動を始めて苗が育つのを手助けしてくれます。

しかし、菊が良い成長をしてくれるのはリン酸や窒素だけが重要なのかと言うとそれだけではないのです・・・・

より良い花を咲かせるために必要不可欠な要因の一つがミネラル(微量要素)なのですが・・・それは後ほど・・・

i0 i1 i2 (1) お気に入りの実生新花

黄虎の子供の赤花

赤い花はすぐに色あせてしまうものが多いのだが・・・・
この花は他の実生の赤い盆栽菊よりも色の退化が少ないようだ・・・
(2) 黄虎の子供の黄色

黄花コスモスのような咲き方の2重咲・・・

丸みを帯びた花弁が整然としていてとてもお気に入り・・・・
(3) 上の写真の様に花弁が整然と咲く花も好きなのだが・・・・・

この花の様に少し清楚で、可憐で・・・日本画や和服の着物等に描かれる菊はきっとこちら・・・・

この花で大きな盆栽懸崖を咲かせてみたい・・・・・そのような事を考えているが・・・・年を取ったせいか?・・・・
 
 植える花夢流・菊・花と生活を楽しむ・・・
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