無題
2009/02/01 (日)


微生物の活動を盛んにして腐葉土作りを成功させるには5つほどポイントがあると私は考えています。

1つは、積み込む木の葉の量と積み込む容器の大きさや材質を考えること。

2つは、微生物の繁殖に必要な炭素と窒素の割合をを考えること。

3つは、添加物を良く考えて堆積物の反応を中性にすること。

4つは、材料に充分な水を与えそれを保たせること。

5つは、積み込んで発熱後の酸素の供給を充分にすること。

などであるのですが、単に盲目的に本や先輩のやり方を真似するのではなく科学的な見地から知識を取得して、それを生かして腐葉土作りをされ、更に実体験を元に改良されることを願って書き込んでおきます。

その1、積み込む容器は、最低、縦、横、高さ共、90cm×90cm×90cm以上の大きさのものを用意して出来れば100Kg程の木の葉を集めて積み込むことが理想的です。

木の葉を積み込む容器は90cm×90cm×90cmがなぜ欲しいかと言いますと、積み込んでしばらくすると微生物が活発に繁殖と活動をして内部に熱がこもるとその熱により更に微生物の活動と繁殖が促進されるのです、通常外気に触れる外枠に近い20〜30センチほどは熱が放熱してしまうので高温にならないものです、外枠に添って30センチが高温にならないとすると、向かい合った枠が60センチだと高温になる余裕は無く、それが90センチで、中心部にやっと30センチの高温部分が出来ることになるのです。

それでは50〜70センチ幅の枠では腐葉土作りが出来ないか、と、いうとそうではありません、枠周辺からの放熱を防げれば良いのです、枠の外壁に発砲スチロールの板等の断熱材を貼り付けて覆えば良いのです、すると積み込んだ木の葉全体が高温になります、例えば、理想的な大きさの180センチ幅の枠の物でも周りが30cmづつ温度が上がらない事がある訳ですから、逆にコンパクトで優れた物になります、ただし、小さな容器ほど頻繁に切り返しをして酸素の補給をする必要があります、もちろん大きな容器で断熱効果を持たせれば理想的です。

その2、微生物の繁殖に必要な炭素と窒素の割合をを考えること。
そのためには積み込むときの米糠や肥料分の量をしっかり計算することです。

腐葉土を作るために微生物の活動を活発にするためには、材料に含まれる炭素と窒素の割合がとても重要です、炭素と窒素の重量比(C/N)を炭素率と言います。

木の葉の炭素率は60〜70程です、100kgの木の葉の中には炭素が40〜50kg、窒素が600〜700g含まれていますがこの炭素の値を窒素で割ると炭素率を求めることが出来ます。

ちなみに、バクテリアの体は炭素率が5、油粕は5〜6、完熟堆肥は15〜20で、数値の低いものが分解しやすい事になります、分解しにくい籾殻は、100、針葉樹の大鋸屑等には1000近い値のものもあり、それらは簡単には醗酵分解ができにくいものです。

前にも書きましたが100kgの木の葉の中にはタンパク質等の形で窒素成分が600〜700g含まれているといわれます、この窒素は微生物の繁殖にとって大切な成分で、それは微生物がタンパク質の塊のようなものでこれが不足すると繁殖に支障をきたす(醗酵して熱が出ない)のです。

又、炭素は100kgの木の葉(乾燥状態の重さ)の中に、デンプンや糖分や繊維素の形で40〜50kgと大量に含まれていて、微生物の呼吸等のエネルギー源なのですが、腐葉土を作る場合炭素が不足することはまず無いのです。

この炭素率を幾らぐらいの数値に置くかがとても重要なのですが、有機物の堆肥化促進方法として炭素率は実は国で示したガイドラインがあるのです。

特開昭57−11895号公報には、被堆肥化有機物の炭素と窒素の重量比(C/N)を12〜25の配合条件とすることが示されています、これは仕込み条件です。

有機堆肥の製造方法として特開昭61−97181号公報には、炭素率(C/N)を10〜20としています。これも上記と同様に仕込み条件です。

しかし、有機農法に使う堆肥と菊作りに使う腐葉土とは若干違いがあります、窒素肥料を兼ねる堆肥と、元肥や追肥等で施肥管理が楽に出来る菊作りで使う腐葉土は完熟し土化した物では無く、コンポスト(用土)としての分解途中の腐葉なのですそれで炭素率(C/N)を40ほどにするのが私は「理論的」に理想的だと考えています。

しかし、100kgの木の葉(乾燥状態の重さ)の炭素率60〜70のものを炭素率40ほどにするには、窒素が500gほど追加しなければならないのですが、これを窒素が2%含まれている米糠だけを使うと米糠が木の葉の4分の1の25kg必要になります、又、窒素が5%含まれている油粕単独の場合は10kg、鶏糞単独なら15kgになります(ただし鶏糞を多用すると菊の品種により花が小さく咲いたり緑がかった色の花になったりすると言われているので要注意)。

私の場合は米糠15kg、と油粕2kg、を混ぜ合わせて積み込み時に半分の量、1回目と、2回目の切り返し時に更に残りの半量ずつ(実際にはそこに馬糞15kg程も使うとき3回に分けて混ぜるのだが馬糞は炭素率が30パーセントほどなので有効窒素分は余り多くない)混ぜて使い、窒素分を400グラム程にしていて、必要な窒素分500グラムの80パーセントにしている。

これは、醗酵を積極的に進めて60℃以上の高温で醗酵させて炭酸ガスを放出させることで炭素率を低下させているので「理論」と「実際」とに差ができることになる、それでも堆積場所が何年にも亘って同じ場所で腐葉土を作っているためにミミズ等が多く住み着いていて腐葉土の腐植化が進み醗酵熱が収まると、何十万匹と大量に繁殖して、短時間で腐植化が進み放置しておくとミミズの糞に化けてしまうのが悩みになっているのです。

3つめの、添加物を良く考えて堆積物の反応を中性にすることは上の2と密接なかかわりがあるのですが、日記仲間の中には木の葉を積み込むときに砂糖水を掛ける方が多い、確かに最初の積み込みには砂糖水を使うと若干醗酵を促進することが出来る、しかし砂糖水を多用することは炭素率の点から大きな問題があるのです。

まず砂糖(スクロースの分子式は C12H22O11 )とはどういうものなのかを科学的に検証すると

(砂糖は有機化合物中の炭水化物である、炭水化合物というのは、炭素、水素、酸素の 化合物であって炭素は六倍若しくはその倍数であって、酸素と水素の割合は常に水 における場合と同一である炭水化物は無色無臭中性の物質)砂糖にも色々あるので科学的に簡単に説明すると、上のようになるのですが、重要なのは窒素は含まれてなく炭素が含まれていると言うことです。

だから、炭素率を上げてしまい長期的に見ると微生物の繁殖を妨げてしまうことになるのです、ただし炭素率の低い乾燥肥料の醗酵や米糠を使って微生物の拡大培養等には大きな力を発揮しますし、土麹作りにおいても欠かせない炭素源です。

積み込んだ木の葉を強い酸性や、アルカリ性に傾かせてしまう事も繁殖を妨げてしまいます、木の葉の醗酵には弱アルカリ性を保つことが微生物の繁殖には最も理想的です、日記仲間の中に木酢液を使う方がいますが、木酢液を200倍500倍等の高濃度でかけることも避けたいものです、2000倍以上に薄めた場合は微生物のエサになるなどとも言われていますが、本来、木酢液は殺虫や、殺菌効果を期待して登場したもので、ただあまり効果が実感できないのは残念なのですが・・・・
問題はPHにあります、木酢液は、PH(酸性度 )が2.0〜3.0あり、強い酸性です、PHは6と7では水素イオンの数が10倍違います、PH2を中性のPH7にするには10×10×10×10×10×10で100万倍に薄めなければならないのです。

また、日記仲間の中には腐葉土作りの炭素率(C/N)の改善に窒素肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を使う方がいますが、理論的には窒素を21%を含んでいる硫安を使うと100kgの木の葉に2,5Kgでお釣りが来るのでとても良い様に思われますが、硫安には、73%程も硫酸が含まれていて、アンモニアが吸われたあと腐葉土を酸性にしてしまいます、菊作り用の腐葉土作りには使わないほうが無難でしょう。


4つ目の、材料に充分な水を与えそれを保たせること、は本来第一番目に来る最も大切なものです。

微生物は高等に進化した植物や動物と違いほとんどの物が水のなかで生活しています、集めてきた木の葉は表面が撥水効果があるワックスで覆われているような状態で水をなかなか吸い込んでくれません、水の入っている器やビニールシートに入れて水を打つなどで充分に水を含ませてから積み込むことが大切です、又、積み込む時に使う米糠等は、本に書いてあるようなサンドイッチ状に層にして積み込むのではなく振りかけたあと熊手などで木の葉1枚1枚に塗す様にした方が醗酵が早まりますし、あとで固まった米糠がごろごろ出てくるのを防ぐことが出来ます。

熱が出てきたら慌て切り返さないで温度が下がり始めてから切り返しをすることが大切なのですが、街中で腐葉土作りをされる方は早めに切り返しをした方が嫌な臭いを防ぐことが出来ます、切り替えしでは充分に水を打ち米糠等を振り掛けます。

時には、木の葉が白く粉を吹いたようになることがあります、これは、高熱性の好気性菌テルモアクチノミセスと言う放線菌で腐葉土を焼けた状態にしますので特にたっぷりと水を掛けておきましょう。

5つ目の、積み込んで発熱後の酸素の供給を充分にすること、は、4と相反することもあるのですが積み込むとき本に書いてある堆肥を積み込む時のように踏みつけたりしないことが大切で、水の重さだけでも充分材料の木の葉は沈み込むものです。

なるべく早く切り返しをして新鮮な空気を入れてガス交換をすることが大切です、踏み込んだり、積み込む高さが1メートルを越えなければ煙突など立てなくても良く、少量の材料なのに通気口などを作ると、風に吹きさらされてしまいかえって醗酵熱が出ない心配をすることになります。

 
 植える花夢流・菊花と生活を楽しむ・・・
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