「人間どものやってることなんざあ、ちっち、ちっち」。
2013/06/28 (金)

harenotikumori.gif 「……俺はよ、海を見ながら暮らしてきた土だ。
 ながめはいがったし、空気も水もうめがったし、お天道さまもまぶしかったなあ。
 俺ばっかりでねくて、まわりで生きてるやづらめも、
 みんなうきうきしてよ、機嫌よぐ暮らしてたんだわい。
 ……虫めらがスイッチョスイッチョ、チンチロリンだったし、
 木の上の鳥めらもピーチクパーチク、ピーヒョロロだったよ」

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福島の「土」がものを言った。
「俺はよ、海を見ながら暮らしてきた土だ」
「いづも草や木の緑で包まっちいだもんだがら、とでも気分がいがったわげよ」
「人間どもは俺の体を耕して食いものをつくりはじめたんだよ」。
そして欲張った人間は道路、工場、発電所も「土」の上でやり放題。
「人間めら、己ばっかり得すっこどやっでだら、そのうぢきっどばぢあだってよ」
やっぱり
「今度はとんでもねごどやらがしやがったんだわい」。
放射能を浴びた土は「まったぐひでぇやつめらだよ」と人間をいさめる。
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↑ は、今朝の某紙コラムに掲載されていた一節である。

この絵本の作者がだれあろう、発酵の小泉(武夫)先生というから驚きだ。
挿画はイラストレーターの黒田征太郎さん。親友らしい。

「食べ物をこよなく愛する小泉さんは、生命の根源となる土の汚染を黙って見過ごすことはできない。
 『土』はさじ一盛に4億匹の生き物を飼っている。
 これらが放射性物質を吸い取って分解する力があることを絵本は紹介する…。」
とこのコラムにある。

興味が湧きネット検索してみると「毎日jp」にインタビュー記事があった。

先生が口にしたのは「土の力」だった。豊かさの根源は土にあり、絵本で訴えたかったことである。

「人間も動物も虫も樹木もコケもシダも、みんな土の恵みで生きている。
 その土は微生物の固まり。肥沃(ひよく)な土1グラムには何十億個もの微生物がいる。
 枯れ葉を土に変えるのはもちろん、放射性物質を吸着してくれたり、放射性物質の半減期を早めてくれたりもする。
 そんな研究がどんどん進んでいる。かすかな光が見えてくるじゃないですか。
 微生物が地球を輪廻転生(りんねてんしょう)してくれるんですから。
 絵本のおしまいで、わが愛すべき微生物たちはこう言い放ちます。
 『まあ、人間どものやってることなんざあ、ちっち、ちっち(小さい、小さい)』って」

 
蘖ひこばえの菜園作業メモ
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