「爪の黒い人間」。
2012/04/10 (火)

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TPPをエネルギー問題と結び付けて考えてほしい。人類は石油を8000億バレル使い果たし、現在の埋蔵量は1兆2000億バレルといわれる。これは富士山で何杯分か。答えはわずか7分の1杯。これが全世界の石油タンクなのだ。その上、中国やインドなどがわれわれ並みの使い方をするようになり、たちまち残りは少なくなる。

TPPは開国論議だが、現状を極端に言えば鎖国に戻りつつあると思う。論理的に考えれば将来的には石油が途絶える。石油がなくなれば流通は様変わりし、TPPのようなグローバルな交易は不可能になる。石油文明は滅びかかり、交易ができなくなる方向に時代は向かっている。

北海道中富良野町で10ヘクタールを耕す50代の農家に、石油がなくなったらどうするのかと聞いたら「おやじだったら1ヘクタールはやるだろう」と答えた。なぜなら「おやじは馬を飼えるし、何より根性がある。俺はトラクターしか知らないし、土日は休みたい」と。

石油がなくなったら、農業そのものが分からなくなってしまう。農業はアグリカルチャー、文化だ。文化が伝承されないことはとても怖い。

日本人は農耕民族であり ITでも金融民族でもない。ITも金融も、カネを介在させてものを食う。今は皆、食うものをどう作るかを知らずに食っている。直接食うものを作るのが 農耕民族だ。そこをもう一度たたき込まないと、人間はどんどんおかしくなっていく気がする。

最近、韓国の若手俳優と付き合う機会が多いが、皆ぴしっとしている。それは徴兵制があるからだと思う。今、日本に必要なのは“徴農制”だ。社会に出る前の2、3年間、農業を義務化することだ。脚本家や役者の育成のために「富良野塾」を開いてきた。塾生は2年間、農作業をやりながら学ぶが、脚本家や役者の育成という本来の目的よりも人間的な変化の方が大きい。農業で人間は確かに変わる。

TPPを推進する官僚たちは土をいじったことがない。農水省職員でさえそうだろう。爪の間が黒い人がいなくなってしまった。土をいじった経験がない者が、机上で農業のことを論じているのは非常に危険だ。僕は爪の黒い人間を信用する。

昨年、来日したブータン国王の姿には品格を感じた。爪の中が見たいと思った。爪の中は黒いんじゃないかと。ブータンのようにチベットの奥地で幸せに暮らす人々に「あなたたちは貧しいから、携帯がある、インターネットがある」と売りつけ、結局不幸にしてしまう。余計なお世話をして社会を画一的にしてしまう、それが米国が進めるグローバル化、TPPではないか。

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「富良野塾」でおわかりでしょうか?
今朝の某新聞に出ていた倉本聰さんのインタビュー記事です。

 
蘖ひこばえの菜園作業メモ
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