2011/04/20 (水)
昨日の夜は清水宏保氏の講演。職場の後輩を誘って聴きに行く。
体が小さい(自称162p)うえ、子どものころから重度の気管支喘息をもっており、 医者からも、学校の先生からも「スポーツ、ましてやウィンタースポーツなんて絶対無理だ」と声をそろえて言われた。 彼は、それを克服する不屈の精神と筋力をつくりあげた。
小学校2年生のとき父親が末期ガンとわかり余命6か月を宣告されました。 それからの父は父でなくなり、まさしく「巨人の星」の星一徹と星飛雄馬の世界になりました。 わたしの口から発することを許されるのは、「はい」「いいえ」「すみません」だけ。 スパルタ教育が始まりました。 その結果、父はその後9年間生きました。
長野オリンピックの4年前、リルハンメルにも出場したが、このオリンピックはさんざんたるものだった。 そこで考えを切り替え、4年後のために価値ある敗戦をあえて選んだ。 普段でもやらないことをそのオリンピックで試してみる、他の選手の技術を盗む、自分を客観視するなどだったという。
その後は、ポジティブなイメージトレーニングを心がけた。 物事をすすめる前にいいイメージをつくって進める。 そうするとうまくいったときにデジャブ感覚になる。余裕が生まれる。 長野オリンピックの2年半前に出場権をもらったが、それからは当然ながらプレッシャーがかかった。 4年間のトレーニングを35,6秒間の一瞬にかけるわけで、 その集中力が極限に達した時、レースのさなかでも「もっと滑りたい」と思うと同時に、 スローモーションで滑っている自分がイメージできた、見えた、と言うのだ。
この時、わたしの脳裏にふっと浮かんだのが、 全盛期の川上(哲治)さんが「ボールが止まって見える」と言ったとかいう言葉だ。 懇親会会場に移動する間、誘った後輩が、いみじくも同じことを言った。 「川上さんの、ボールが止まって見える、の境地ですかね?」 さらに、将棋の羽生さんは対局の最中に、「対局している自分の姿が俯瞰で見える」と言いますし、 サッカーの岡田監督は「ゾーンにはまる」という言葉を使いますよ。 それと同じ状態なんでしょうね、と後輩に教えられた。
「俯瞰しているなんて、幽体離脱じゃあるまいし」と茶化してしまったが…。
ちなみに清水さん、「時速60qで半径25mのコーナーを回ります。失敗すれば骨折もします」。
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