「離農セール」。
2008/06/18 (水)

今日付の日本農業新聞の企画「食料有事」抜粋。

晴れ上がった6月上旬。長野県松本市の採卵鶏農家、田中泰穂さん(57)は久しぶりに鶏舎の重い扉を開けた。真っ暗な内部に光が差し込み、静まり返った灰色の空間が浮かび上がる。ケージが延々と90m先の壁まで続く。そこに鶏の姿はない。
 32年続けた養鶏の廃業を決めた。目下、整理清算中の身の上だ。長野県ではトップクラスの規模で7万2000羽を飼い、最盛期には年間2億3000万円を売り上げた。飼料高騰に泣いた。
 「スーパー本位の値段ではやっていけない。飼料代が跳ね上がるのに、卵価格はほとんど変わらない」。借金は見る見るうちに6000万円にも膨れ上がった。
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 北海道恵庭市の酪農家、村上隆彦さん(52)は、凍りつく光景を目の当たりにした。“離農セール”だ。家畜市場に牛を満載した10t級のトラックが何十台も連なり入場する。牛の数は400頭。空前の飼料高で廃業した酪農家の牛が、借金のかたに、右から左へと売り渡されていく。「明日はわが身かも」――心の中でつぶやいた。
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 養鶏仲間は「もう少し我慢しよう」と引き止めた。廃業を決断したのは昨年暮れ。連れ添った妻の目に涙がにじむ。「お父さん、もう疲れ切っちゃったんだよね」
 今、家から車で1時間ほどかかる牧場に住み込みで働く。「土地も屋敷もなくなる。来年の今ごろは、どこで暮らしているだろうか」。穀物高騰が生活を奪った。


養鶏、酪農の例だが、野菜だって安穏としていられなくなった。
ohyakusyou2001さんが、以前、日記に書いておられた燐鉱石も深刻な状況だ。
最大規模の輸出国である中国が実質的な禁輸措置に踏み切ったのだ。
今年4月、中国は化学肥料の輸出関税を100%と大幅に引き上げ、
翌5月には燐鉱石の関税も100%に引き上げた。
13億人という世界最大の人口を養うべく、
自国の農業向けにリン鉱石を活用するように方針を変更したためで、実質的には禁輸措置に近い。
食料自給率向上のために国産農産物の増大を叫んでみても、肥料も他国頼みの日本農業。
全農がヨルダンに工場を持っているものの、燐鉱石の多くは中国に依存しているのが実態。
もともと、危うい立場にあった。
中国に限らず、中国に並ぶ世界最大の燐鉱石の生産国である米国はすでに輸出を禁止している。
ロシアなどでも産出されるが、国際的に品薄状態が続いている。
今後、さらに入手困難になれば、中国や米国以外の国も自国の農業のために禁輸措置に動く可能性もある。
そうなれば、日本の農業は窮地に立たされる。
魚粉・骨粉をいまから集めとく? 
燃料が高く漁も控えるようになれば、魚も高くなる。
堆肥作りに励んで化学肥料を使わない栽培法が必要か?

 
蘖ひこばえの菜園作業メモ
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