2006/10/13 (金)
食料が生命と健康の維持に欠くことのできないものであることから、 通常、エネルギー換算での自給率を示している。 国民に供給されている食料の全熱量合計のうち、国産で賄われた熱量の割合を示したものである。
それが「40%」なのである。
政府は、'10年度までに45%とする目標設定をしていたが、昨年、これを'15年度までとする先送り修正をした。 1965年度には73%だった自給率が、米の消費減少、畜産物や油脂類の消費増大で低下し、 '05年の40%は、8年横ばいがやっとの数字。 主食用穀物(米、小麦、大麦、裸麦)の重量ベースでの自給率は60%なのであるが、 飼料を含む穀物全体の自給率となると27%と、ぐんと下がってしまう。 1sの牛肉を生産するのに、10sの餌が必要ともいわれる。 その牛肉生産のための飼料自給率は26.2%。豚、鶏(卵も)にいたっては10%にも満たない。 飼料全体の自給率は約25%でしかないのだ。
世界人口の増加、中国やインドなどの経済成長に伴い、今後、世界の食料が不足するとさえ予測されている。 わが国も、輸入がストップすれば、 牛乳は5日にコップ1杯、卵と肉は10日に1食しか食べられなくなる、というのが農水省の試算だ。
では、これを日本国内で生産できるかというと、 日本の耕地面積は'05年で469万haで、その利用率は'04年で93.8%。 もしも、輸入農産物を含めて国内ですべて生産するとしたら、1,200万haもの農地が必要と試算されている。 これは国土面積の1/3に当たる。
また、仮想水という言葉がある。 農産物や工業製品を生産するのに必要な水のことである。 精米後の米1sを作るのに約8t、小麦粉1sには4t、牛肉1sには100t近い水が必要と推定されている。 これを輸入食料に当てはめると、年間1,035億tの水をも輸入していることになる。 ちなみに、日本の生活用水の年間総消費量は約890億tということだ。 農地が足りなくて、そんなに大量に水が必要ならば、現状のまま輸入すればいいじゃないか、 と言われると、話は堂々めぐりになってしまう。 食料自給率の低下は、食の欧米化に日本農業の対応がついていかなかったのが原因という考えをもつ人がいる。 だが、根本的に違うのではなかろうか。 日本には、日本の大地、日本の気候に合った、そして、何よりも日本人にあった作物、食べ物があるはずだ。 それが崩れているからこそ、いま、食に関する諸問題が湧出しているといえる。
国民の食料を自分の国で作った農林水産物で賄うことは、安心して生きていくための国策の基本である。 だけど、日本の「食」の実態は食糧安保の観点から余りにも心もとない。 食料自給率実態を知り、どうやって国産農産物の生産、消費を増やすか、国民総意の基で真剣に取り組まねばならない。 自給率向上へ政府が力を入れているのは、 学校や地域で食の大切さを学ぶ「食育」や、地場の産品を地元で味わう「地産地消」だ。 こうした取り組みや、自家菜園も微力ながら自給率向上につながる。 農林水産省「食料自給率の部屋」
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