アンバランス(後編)
2007/12/27 (木)

harenotikumori.gif

ほれ、これ着てみて。

コートのようなジャケットのような若干長めの服、見た記憶が無いということは新品?
まさか〜クリスマスプレゼントだろうか。

なに、これ。
ええから、それきて行って来て。
んじゃー行ってみるわ。

探検隊との散歩コース、河川敷にある138タワー。
自宅からは片道2k弱の道のりで探検隊の道草がなければ20分はかからない。

時刻は午後8時を僅かに過ぎたばかり。
東北の空に大きな満月が朱色にひかり、冬の代名詞と言われるオリオン座が薄れて見える。
満月の薄明かりと、所々にある街路灯の明かりが、河川敷の散歩道を予想以上に歩きやすくしてくれる。

日が沈むのが早くなったこの季節、夕暮れ時には散歩する人も多く見かけるが、さすがにこの時刻にもなればジョギングするオジサンもウォーキングを楽しむオバサンの姿もない。
いつもなら、あちこち寄り道が多い探検隊も勝手が違うと思ったのだろうか、自然と早足に付いて来る。

おーすっごい人やんけー。

1年を通し、何らかの催し物が始終開催されている、このタワーの公園は、家族ずれで賑わうことが多い。
だが、クリスマスイルミネーションとなれば、いつもとは雰囲気が違う。

家族連れの姿は2割あるだろうか、どこを見ても圧倒的に若いカップルで埋め尽くされている。

新品のジャケットを着ているとはいえ、犬を連れたオジサンは、たぶん一人だけだったと確信できる。

きゃ〜♪冷たぁ〜い♪

探検隊には初めての経験だったのだろう。
尻尾は振っているが恐る恐る近づけた鼻が、スラリと伸びた脚に軽く触れてしまった。

ふんわりとしたセーターにサンタさん張りのコートの上半身、短いショートパンツにクルブシが隠れる程度の短いショートブーツの下半身。
こういうスタイルはアンバランスとは言わないのだろうか、これが今の若者なのであろうか。
暖かさを比較するには、あまりにも違い過ぎる。

声に反応して少し控えた探検隊、だが興味には勝てないのだろう、また尻尾をフリフリ鼻を近づけようとする。

もし、ここで犬の本性が出てしまったら、どうすれば。
まだ20歳そこそこだろう、長年使っているとは思えない真っ直ぐな脚に噛み付いたら。
それこそ取り返しのつかない一大事となる。

飼い主がもう少し若ければ身を持って責任を取る事も出来よう。
だが、今ではそれも叶わぬこと。

万が一を危惧し、嫌がる探検隊を引きずり、早々にタワーを引き返すことにする。
何度も振り返り普通に歩こうとしない探検隊に、ゲンコツを一個お見舞いしたのは、手を振って見送ってくれた白いサンタの娘さんが見えなくなってしまってからのこと。

ただいまーー。
どうやった?
うん、若いのばっかで混んでた。
はぁ〜ん?そんなん当たり前やんか、違うわーそのジャケットの着心地はどうなの?
えっ?悪くないよ暖かいし。
そう、ほんじゃーええわ。

まさか、このジャケットの着心地を聞きたくて、こんな夜に片道2kもある所へ行かせたのだろうか。

あれ?なにぃーこれー!
うん?どうしたの?
まさか、この長靴履いてったの!
あっ!

探検隊の散歩は、いつも畑仕事の服装に長靴という出立、なんら違和感は無かった。

これやもんねー、何買っても一緒やから。
ああはははは・・・。
それ早く脱いで、汚れるから。
えっ!買ってくれたんやないの、クリスマスプレゼントやないの。
そうやよ、プレゼントやよ、早よ脱いで。
・・・?

何十年、連添っても話が噛み合わない時もある。

素直に脱いで手渡したジャケットと引き換えに、グータラへのクリスマスプレゼントだからと、念押しの言葉が・・・。


画像左:クリスマスローズ(全く変化が見られず(><))
画像中:第一畑の玉葱(かろうじて生きてる感じ(´`))
画像右:ビオラワールド(初めての合体写真チャレンジ^^)

i0 i1 i2
 
家庭菜園してます。
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]