2006/02/14 (火)
春を思わせるような暖かな午前中から、今日の出来事を現すかのように一転して雨が降り出す、薄暗い一日となる。
今日は2月14日、世間で言うところのバレンタインデー。 本命などというアツアツの物には〜まったく関係無い世代であっても、今日は外見だけ男の形をしていれば〜何かありつけるという、ありがたい日。
保険屋さん、コンビニ、会社、居酒屋、その他思いも寄らぬ所から頂くこともある。
朝からザワザワと落ち着かない我が社の事務員さん達。さすがにバレンタインだけのことはある。 ぐふふふ・・・3個? う〜〜ん、ちょっと欲張りかー。2個?まてよ1個でもいっかぁーー。 仕事をしながら〜ちょっと余計な詮索。
【すいません、午後一番までに、これお願いできませんかー】 昼少し前、持ってこられた仕事。常日頃からサボりまくっているという後ろめたさもあり、引き受けざるをえない。
なんやねん、これで保険屋さんからのチョコは貰えんやん。ったくもぉーー。
【あのーーすいません、ちょっと調子が悪いんで見てもらえませんかー】 今度は定時少し前、現場から内線がある。
あほか、後ちょっとで定時やんねんど、本人がおらんかったら渡すほうだっ渡せんやろが。 それに〜本命に渡すつもりで持って来て、結局勇気が出せず渡せなかった。捨てるのも勿体無いから、目に付いた無難な人に差し上げるっていう子もおるかもしれん。 まったく、なんちゅう間が悪いこと。
それでも仕事を断れない真面目な性格であり、現場へと出かける。 定時を30分ほど過ぎ事務所に戻るが、騒いでいた女の子達の姿は、もうない。
あれ?何も置いてないやん。 机の上は出かけた時と同じように書類が広がっているだ。可愛いリボンがついた箱も、包みも見当たらない。
本命はいらない、でも一度は貰ってみたかった友。それがダメならせめて義理は? それでもダメなら〜チロルチョコの一粒くらい・・・。
悲しいーー。 全く無し、一個も無しなんて〜こんなん、男と言えん。
ズサズサになったプライドを必死で耐え、声にならぬため息をつきながら帰り支度を始める。 ブルブルブル・・・。
胸のポケットの中で携帯が震える。 「はい」 『お仕事中ですか〜♪』
この声は、忘れもしない。点滴屋さんの声。 「いえ、もうそろそろ帰ろうかなぁーって思ってるとこです」 『今日ってバレンタインですよね〜、たくさん貰ったんでしょう?』 「え?あははは・・貰ってないですよー」 一つも無しなんて絶対に言えない、言える訳がない。
『あのぉー♪』 「はい、はい、はい」 おい、おい、おーーーーい。まさか、まさか、まさか〜〜アツアツの***を期待して良いってことかぁーー!
『今日って、お寄りになります』 「ええ、行ってもいいですよ」 『実は、皆さんにと思って、***ショコラケーキ作ったんですよ〜。持って行きますから来てくださいね〜♪』 「手作りってことですか?」 「はい♪」 『行きます、行きます、すぐに行きます』 「じゃぁーお待ちしてまーーす♪」
ぎゃはははは・・・ほらほらほらぁー運が向いてきたやん。 アツアツでは無かったが、そんな贅沢は言ってられない。速攻で片付けを済ませ、いつもの居酒屋へ行く。
『お待ちしてましたぁ〜♪遅かったですねーー』 「えっ!あーーすいません、ちょっと手が離せない仕事があって」 電話を貰ってから、すぐに出かけた。途中の道が混んでたわけでもなく普通にこれくらいは掛かるのだが〜遅かったと言われれば〜反射的に理由を言ってしまう、愚かな人種。
『おビールですか〜?♪』 「いえ、ビールは止めました。焼酎で」 『あら、そうなんですか?』 「ええ、ところで〜あのぉーーー電話の・・」 『あっ!はい、今、お持ちしますね〜♪』 鼻に小じわを寄せてブイサイン。なんとも可愛らしい表情は、見ているほうも嬉しくなる。 軽やかにカウンターの中へ入って行く姿は、まるで天使のよう。
『ママぁー、ケーキどこですかぁ〜♪』 “あれ、もうみんな食べちゃったがね。そんなに甘く無くて〜しっとりしてて、美味しかったわー” 『えっ!?』
ついさっきまで天使のように笑ってた顔は、もうない。 『ごめんなさぁーい、なくなってしまって・・』 「なくな・・・」
夢は1時間弱で、儚くも消える。
なんとかショコラケーキ、食べたぁーーーい。(T_T)
画像1:ビオラ(チョコ色) 画像2:ビオラ(紺色) 画像3:がははは・・・v(^^。のつもりだったのに(><)シュン
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