点滴
2006/01/06 (金)

kumori.gif 仕事始め&病み上がり2日目。昨日に比べれば随分と楽になった身体。
やはり家でゴロゴロしているよりは多少辛くても会社に来たほうが早く良くなる。長年の経験上、まず間違いない。

結局、薬らしい薬は何も飲まず自力で治すことができそうで、今回もいつものパターンで終わりそうな予感。
薬が特別嫌いな訳ではけっしてないが〜どうも胡散臭いような、今ひとつ好きになれないのは昔から。

年始でそれほど忙しくも無い仕事。ほとんどが年末年始工事の状況調査と年始挨拶のお相手で一日が終わる。
帰り際、隣で事務員がクシュンクシュンと鼻を鳴らしているのが多少気になる。まさか移してしまった?

「早めに薬飲んだほうが、ええよ」
『はぁ〜い、ご心配ありがとうございま〜す♪』
自分は飲まない薬、それでも人に勧めるのは〜割と得意。
声を掛けてはみたが、彼女の知能レベルなら簡単には風邪をひくこともあるまい。と楽観視。

そろそろ片付けようか思うところに携帯がなる。見慣れない名前が番号と共にディスプレイに出る。
「はぁい」
『どうしたんや〜生きとるかぁ〜病気でもしとーせんかー』
「あら?あけましておめでとうございます」

いつもの居酒屋の常連さんから。
『ちっとも来ぉーへんで、みんな心配しとるやでー。どうしてまった?』
「ちょっと、年明けに風引いてまって寝込んどったんですー」
『やっぱ、そうやねーかと思っとたんやわ。ほんで、もうええんけぇー』
「ええ、まだちょっとハッキリせんけど、仕事には来てます」
『無理せんほうが、ええわな。もうそろそろガタが来る歳やし。薬飲んどるんけ?』
「薬、好きやないんで・・」
『ほんなもん飲まな、治らんやろ。あの子に持って来てって頼んだろか?』
「あの子?あの子って?」
『なんでじゃー金曜にバイトに来とる子やが、あの子昼間は看護婦さんやっとるの知らんのけ?』
「いや、全然」
『しょっちゅう、仲良ぉー飲んどる割には何も知らんのやなー』
「はい、すいません」
『まあええわ、ほなな』

年末には、違うところにも飲みに出かけた、あのバイトの子が看護婦さんだったとは。
もしかしたら飲んでる途中に聞いたかもしれないが、記憶には全くなし。

片付けも終わり帰ろうとするとまた携帯がなる。
噂とはしてみるものだ、ディスプレイには昼間は看護婦さんというバイトの子の名前が。

「はい」
『おめでとうございま〜す♪』
一通りに新年の挨拶を交わす。

『風邪ひかれたんですって?』
「え?ええ、聞いたんですか?」
『ちょっと用があって電話したら、ママがそう言ってたんです。それで症状はどうなんです?』
年末の暴飲暴食&不摂生はおくびにも出さず、年始の最悪の状況を説明する。時々鼻を鳴らす仕草は、わざとでは無いにしろ自分自身が嫌いになる。

『へぇ〜大変でしたねー。じゃぁ〜お薬持って行きますから、いつものところで待っててください。そんなに遅くなりませんからー』
はいという返事をする間もなく、忙しそうに携帯を切った薬屋さん。
わざわざ持って来てくれるのなら〜スッポカス訳にはいかない。今年初めて、いつもの居酒屋へ寄り道する。

“おー来たんけー、ええんか?風邪は?”
ついさっき電話をしてきた常連さん達から、手厚いもてなしを受ける(?)
「なんか〜あれから電話があって薬を持って来てくれるって言うから来たんです」
“なんじゃーやっぱし連絡しとるんやんけー”

最近やけに誤解してる、ここの常連さん達。何度違うと言っても、最後はそこにコジツケタクなるらしい。
カウンターに座り、待つこと5分。さすがに手持ち無沙汰になりだす。

“今日は飲まんのけー”
「やっぱ、今日はいかんでしょう。薬を持って来てもらうのに飲んでちゃー変かなーと思うし」
“ふんなもん、ちょっとぐれー変われせんて、ほれ呑め!”
飲めなくは無さそうな身体の調子。じゃ〜ちょっとだけと飲み始めれば止まらない、ビール1本ほど開けた時分に薬屋さん到着。

『あれ?飲んでるんですか?』
「えっ!そうですよね、やっぱりダメですよね〜飲んじゃ。みんなが飲め飲めって言うから」
人のせいにするときは〜出来るだけ早めが肝要。つまり言ったもんが勝ち。

『あ〜あ〜、ホントはダメなんですけどねー。良いですよ、少しくらいなら。そこに座ってください』
「座るの?薬持って来てくれたんじゃないの?」
『薬も持ってきましたけど、点滴もしますから。そこに座ってください』

点滴ーー!?それって常識なら病院でするもの。ちょっと落として考えたとしても居酒屋でするようなものではない筈。

「てんてき?て〜あの、注射してからポタンポタンって落ちるヤツ?入院してるときにベットに寝てやるヤツ?」
『ええ〜そうですよ』
「そんなの、こんなとこでするの?マジ?そんなに酷くないんですけど、だいぶ良くなってきましたし・・」
『点滴したほうが早く良くなるんですよ、大丈夫ですから。早くこっちに来て』

生まれて、うん十年。点滴をした記憶は4回ほど。
もちろん、こんなに元気な状態でうったことは一度もない。瀕死の状態になりベットに寝かされ〜うんもすんも無く打たれたときばかり。

「あのぉー点滴って医者がいなくても大丈夫なんですか?」
『ええ、私がいれば大丈夫ですよ。だから今日、症状聞いたでしょう。風邪薬の他にビタミンも、元気になるのもオマケで入れておきますから。いつもお世話になってますしね〜♪』

ちょっと、ちょっと、ちょっとーーー。
オマケ?お世話になってるから、ついでに薬?そんな軽いノリで点滴ってしていいんかい?
それでなくても常日頃から薬嫌いの人種。注射、点滴という類はもっともっと神聖なもの、これ以上自らでは治せないときにだけ使うものだと思っていたのに・・。

アンプルをプルプルっと振っては大きな注射器に吸い込み、点滴用のビニールに注入していく手つきは、見るからに手馴れた感じ。
『毎日してますから大丈夫ですよ。家では自分でしょっちゅうしてますし、年末もママにしてあげたばかり。さぁ〜良いからここに座って手を出してください。動くと痛いですよ〜♪』

こんなことって普通にあるもんなのだ。変じゃないんだ。
知らぬ間に変わる世の中、ついていけません。(××)


画像1:点滴跡(生まれてから5回目の点滴(><))

i0
 
家庭菜園してます。
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]