2005/12/12 (月)
穏やかな朝から一転して突風のような木枯らしが吹きだした午後。名はこの地方特有の伊吹おろし。この強さなら雪も連れてくるに違いない。
ジングルベ〜ル♪ジングルベ〜ル♪鈴が鳴るぅーー♪ 通勤途中のラジオから聞こえたクルスマスソング。これが聞こえ出すと、あっとゆうまに新年が来るから不思議なもの。
クリスマスが間近といっても最近ではサンタ役の出番は無し、もちろんプレゼントさえ渡す必要もなくなった我が家。 昔は小さいながらクリスマスツリーもあり、今ごろの時期に帰宅するとピカピカと小さな赤や黄の電気が光を放っていたのを思いだす。
ひな祭り、鯉のぼり、五月人形、七夕、クリスマス、新年。 そういった季節感のある行事は、いつからか〜ほとんど無くなってしまった。その時期の道具類も、どこかに片付けられているのか捨てられたのか、まったくお目にかかったことは無い。 なんだか寂しくなった家庭。 これでラジオやテレビが無かったら、まったく解からないままなのだろう。
「あのさぁー今年、餅つき機買わせん?」 『ふんなもん、何やるの?』 餅つき機で何をするかと聞く人が、この日本にいるとは〜ちょっと信じがたい。
「なにって、そんなもん餅をつくんやんかー」 『で、ついてどうするの?』 「ついたら〜食べるんやんか、決まってるやん」 『なにーしょうもない。ほんなんならいつもの餅買ってくればええじゃん』 何年か前から、真空パックに変わってしまった我が家。それまでは〜お互いの実家でついたものを貰っていたのだが、なんと言っても食べる人が圧倒的に少ない我が家。 最後にはカビが生えてしまうことも多々有り、もったいないの意見。 唯一、餅好きの1名も年末年始にかけての海外出張続きでほとんど食べられない状態が続き、貰うのを止めてしまった。 そのうち、お互いの実家も住む人の減少でつかなくなり、今ではまったく無し。
「まあ、あれでもええけど〜たまにはつきたての餅、食べたない?美味いようーー」 『食べたない、全然食べたない』 「なんやねん、ケチ!」 『ほんなこと言ったって〜一人が食べたいだけで後は食べた無いやから、そんな無駄なことは出来ません』 「あ〜あ〜もう、一生つきたての餅食べれんのかなぁーー。ほんで、このまま死ぬのかぁーーあ〜あ〜悔いが残るなぁー」 『やらしいこと言うね〜もう』 「ほんでも、そうやんかー」 『つきたての、あのグニョグニョっとしたのが食べたいの?』 「そうそう、大根おろしとか〜キナコで」 『わかったわ、待ってりゃー作ったるから』 そういってキッチンに向った料理専門家。
作る?どうやって? つきたての餅を作るなんて、どんな料理の専門家だって出来るわけがない。
数分後。 『はぁーーい出来たよ、キナコでええんやね?』 「うん、ええけど・・」 「はい、どうぞ」
白い皿の上には、確かに餅らしきものが二つ。コンモリとした粘ったツヤの感じは間違いなく餅。 「あれ?どうしたのこれ?」 『ええから食べてみやーー』 餅の皿とは別の小さな器に黄色い粉が少し。
「ふんじゃーいただきます」 皿の上の餅を箸でつかむ。この伸び具合、まさしく餅。 だが!
「あれ?これって、真空パックの餅をチ〜ンしたんとちゃうの」 『あはははは・・やっぱり解かった?』
つきたてと言うには程遠い、柔らかすぎる。グニョングニョンの餅だった。(><)
画像1:今にも降りそうな雲 画像2:閑散とした冬の田んぼ
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