2005/10/26 (水)
放射冷却が少なかったのだろう暖かい朝を向かえる。昼を過ぎたころから厚い雲がかかり、寒いと感じた夕暮れ時。
ポット苗達の水遣りも入らなくなった朝、何をすることもなく〜ただブラブラと様子見。 ビオラポットの前に立ち土に軽く触れてみる。かがんで鉢とプランターの土をつまんでみる。どちらも、それなりの湿り気があり悪くない。 今朝の苗達には早起きの菜園主はどうやら用済みの感じがする。
小屋の中にいれておいた〜お裾分け用の落花生を忘れないように車の近くに起き、しかたなく畑に行って数枚の写真を撮る。
いつもの居酒屋の常連さんに頼まれた落花生。昨日の予定が、まんまと忘れ今日持っていくつもり。 頼んだ常連さんがいるかどうかは解からない。いなければ店にお願いするだけで特別に問題もない。
今年も残り2ヶ月となった10月最終週。思わぬ雑用もあり、少し遅めに会社を出る。
お目当ての常連さんの顔は見当たらないが、それでもカウンターに座るほとんどが顔見知り。 満員でもなければガラ空きでもない、ほどほどといった感じ。
『あっーーーーぁー!いらっしゃいませぇーー♪』 まったくの予想外とはこのこと。金曜のバイトの子の悲鳴に近い叫び。 「あれ?どうしたの?仕事なの?」 『こっちがビックリですぅー♪。いらっしゃるなんて思ってなかったからー』 あちゃーーー、そんなに敬語を使わなくたって・・・。 敬語慣れしてない日常、こうゆう言葉遣いをされるのは〜どうも、嬉しい!(うん?)
『仕事ではなくて、今日はお客さんですぅー♪』 「あれ?でもカウンターの中に・・・」 『今ちょっとママが手が離せなくって、お手伝いを』 そう笑いながら一人分の席を用意しだした明るい性格の彼女。
『はぁい♪ここに用意しました。どうざお座りください』 「あ、ありがとね」 何かの煮物だろうか小鉢に盛られた口取りと箸置きに重ねられた割り箸、そしてオシボリがバランス良く並べられている。
隣の席は手洗いでも行っているのか席の主は不在。ほとんど手をつけられてない小鉢、半分ほど減ったウーロン茶のペットボトル、小さなガラスのコップには透明な氷とともに〜たぶんそのウーロン茶と思われる褐色の液体が半分ほど入っている。 もう少し大きなグラスにはサワーらしきものが入って半分ほど飲まれている。
『なんじゃーまた隣けぇー、ええなわけぇー連中わー』 座ろうと腰を屈めた瞬間の一言、誰宛てに言ったかは歴然としている。 「あれ?ここって誰なんです?」 『はぁーーーーい、私でぇーーーす♪』 会話が聞こえていたのかカウンターの中から右手を一杯に伸ばし、大きな声を出す元気なヤツ。
「あら?そうだったの。なんか他の人が座りたいみたいやよー」 『ええわええわ、まあええわ。早よぉーすわりゃーええわ。でけぇーのがいつまでも立っとたら見通しが悪なるで。がはははは・・・・』 いつもながらに、よぉー解からん店。
椅子に座わり出されたビールを手酌で一杯。 顔なじみの人に軽く挨拶しながら自然に彼らの話題へと溶け込む。
『お待たせしましたぁーー♪』 カウンターの中の用が済んだのか、5分もしないうちに隣に座ったバイトの子。 『あれ?もう飲んでるですか?乾杯してないのにーーもう〜』 なんだぁ〜? なんだ?なんだ?乾杯?なして?
居酒屋のノレンをくぐり、1分以内に飲み物が出てこないような店は基本的に好きくない。これ飲み助の常識。 いつ戻ってくるのか解からない人など待っていらりょー筈がない。
『じゃぁ今から〜♪はぁーい、お疲れ様でしたぁー♪』 コキーーン。
『おー、わしとは乾杯してくれへんの?わしにもしてぇーなぁー』 「あっ!すいません。いいですよ、ほんなら」 『ちゃうちゃう、あんたやないって、そっちのお嬢さんとやて。なんで〜わしがあんたとしなかんの、わからへんわー』 このおっさん、関西の出身らしくどこかイントネーションが違う。 『はぁい♪それじゃ〜お疲れ様でしたぁ〜♪』 カキーン。 ったく、酔っぱらいのオジンはホントに情けない。乾杯程度で騒ぐ事もなかろうに、ブツブツブツ。
程好く飲んで、程好く酔っ払った頃。 『デジカメって持ってますかぁ〜♪』 「うん、持ってるよ。デジカメがどうしたの?」 『買いたいなぁーって思ってるんです。どこが良いですか〜♪』 「どこも一緒ちゃう、そんなに変わらんと思うけど」 好きでは無い話の腰を折るのは、わりと得意な性格。 言ってしまってから悲しそうな顔を見て“しまった”と思うのに時間はかからず。
「デジカメなら今、持っとるよ。見せたろか」 『えっ!ホントですかぁ〜見せてくださぁ〜い♪』 すがるように我が左腕に添えられた両手。ずっとこの感触のままでも良いかなぁ〜とは思うが、キラキラした目の奥はデジカメしか見えてなさそう。
車の中に常備している、おNewのファインピックス。 「はい、これ」 『うわぁ〜♪思ったより軽いんですねーー♪』 「うん、そんなもんかな」 『スイッチ、入れてもいいです?』 「ええよ、ここを押すの」 ピポーーー。 『キャァーー写った、すごぉい♪』 あったりまえだっちゅうの。まだ新品同様、壊れてなるものか。
『なにか撮ってあるんです?見ていいですか?』 興味津々の顔つきで迫られては、ダメとはても言えず。 「いいよ、たいしたもん撮ってないけど。ここをポチっとして、こっちのボタンを押したら絵が変わるから」 ピプ。
『あぁ〜わんちゃん♪それに、いちごぉー。これは大根?』 探検隊までは良かったがページをめくるに連れ、嬉しそうな表情が消える。 『野菜とかばっかりですねぇーー』 普通の人は、やはりそれなりの写真を期待するもの、解からないでもない。が!なんといっても、これは菜園専用デジカメ。他の物が写っているはずもなし。
『何かにお使いになるんですかー?』 「あははは・・・そうそう、これはさぁ〜、の・・・・」
後1本、余分にビールを飲んでいたらきっと言ってしまったに違いない農園日記のアライザライを。 あな、恐ろしや恐ろしや。
画像1:茎チシャ 画像2:薄目を開けて眠そうな探検隊
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