創作童話3
2003/12/04 (木)

里の秋〜風の歌・1 97/09/10

 風の子ふうたくんは、里へやって来ました。

 欅(けやき)くんは、大きく枝を広げ大木になります。
 公孫樹(いちょう)くんは、背が高く、太い幹に扇形の葉っぱです。
 木鬼(えんじゅ)くんは、街路樹として頑張ってます。

ふうた;こんにちは。僕ふうた。
    バオバブくんを探してるんだ。知らないかい?

欅;なんだってぇ。そんなもの知らないよ。
  それより、見たまえよ。私のこの堂々たる姿を。

公孫樹;何言ってんだい。
    私の方が立派に決まってるじゃないか。

木鬼;バオバブだってぇ?
   たしか、神の教えを伝える奴だな?
   ふうたくんとやら、そんな奴が言う言葉よりも、私の言葉を聞きたまえよ。なんたって、私は隣の中国じゃ、神の木とされているんだからなぁ。


 ふうたは、悲しくなって黙って去っていきました。

 その秋は、例年になく寒い秋で、三人ともあっという間に葉っぱが落ちてしまいました。それまでは一年中葉っぱを広げて堂々としていた樹達が、その後は、冬にな
ると丸裸で凍えるようになりました。

まるで、ふうたくんを悲しませた事に対して神が怒ったかのようでした。

 
ぶな菜園日記
[ホームに戻る] [今日の日記へ] [この日の日記へ]