畑を見渡す農小屋の古びた机に、これまた古式蒼然たる双眼鏡が一つ 昔、おじいさんが兵隊に行って、持って帰ったものだ おじいさんの任務は、ソ連と北支の国境警備 戦争が終わって故郷に帰りついたとき、おじいさんは生まれて初めて斧と鍬を手にして、荒地を開墾していったそうだこの双眼鏡は、それからの百姓おじいさんの天敵となったカラスやヒヨドリを観察(監視)するのに使われた 毎日、畑で汗を流し 晩酌をゆっくり楽しみ 悠然と天寿を全うしていかれた先代を偲ぶ今日この頃である